今すぐ会社やめたい。今すぐ死にたい。全部どうでもいい。人生に疲れた人に必見!
「隆にとって、会社辞めることと、死ぬことは、どっちのほうが簡単なわけ?」
ヒトは何のために働くのか。何のために生きるのか。福士蒼汰演じる、ヤマモトの真っ直ぐなセリフと共に心の奥底にそっと訴えかけてくる。
「今日も残業か…」
工藤阿須加演じる、青山は厳しい仕事のノルマをこなすため、いつも終電に乗り込む。そして、今日もホームに向かいふらりと一歩踏み出す。電車にはねられる瞬間、腕を何者かが掴んだ。青山を助けたのは、小学校の同級生、ヤマモトだった。この映画にはタイトル通り、日本の労働問題が隠れている。青山は学生時代、就活をして採用してくれたのがこの会社だけだったから。恩を返すつもりで、会社に入り、頑張ろうと最初は思った。しかし、入った会社はブラック企業。毎日毎日、体も心もすり減らしながら会社に行く。
「お前の人生は、半分はお前のためと、あとの半分は、誰のためにある?」「あとの半分は、お前を大切に思ってくれてる人のためにある」
ヤマモトが青山に投げかける。普段はこの主人公のようにみんな、自分の事しか考えられない事が多い。むしろ自分が大変な状況にいたら尚更だ。しかし、家族、友人がいる。この作品では家族についても触れている。ラスト直前、会社を去る時の青山のセリフが妙に耳に残る。
「簡単じゃなくてもいい。むしろ簡単じゃいけないんです。僕は、この会社を簡単に選びすぎた」
いつもは謝ってばかりの上司にはっきりと告げる。自分が何をしたいのか、何のために生きるのか。誰のために生きるのか。仕事ばかりではなく、生きるとは。もう一度、自身と照らし合わせて見つめて考え直したい作品。