今夜、ロマンス劇場で

今夜、ロマンス劇場で

『今夜、ロマンス劇場で』とは2018年に公開された、主演綾瀬はるかと坂口健太郎によるラブストーリー映画である。映画監督を目指す健司が通い詰めていた「ロマンス劇場」で、モノクロ映画に出演している映画のヒロインである美雪に出会う。ある日、美雪が現実世界に現れ、健司は美雪に色のある現実世界を案内していくうちに、健司と美雪は惹かれ合っていく。しかし、美雪にはある秘密があった。切なくもあり、昭和中期を舞台とした切なくもあり温かい気持ちになるラブストーリー映画となっている。

今夜、ロマンス劇場でのレビュー・評価・感想

今夜、ロマンス劇場で
8

究極のラブロマンス

「今夜、ロマンス劇場で」は、綾瀬はるか主演の映画です。奇想天外な設定なのに、中盤からロマンスに胸がキュンとなります。笑えて泣ける映画が観たい人にオススメの映画です。綾瀬はるかが演じるのは、白黒映画から飛び出したお姫様の美雪。また、美雪の演じるお姫様に恋心を抱き、美雪がスクリーンから飛び出すきっかけを作った青年・健司を坂口健太郎が演じ、晩年の健司は加藤剛が演じています。本作は加藤剛の遺作です。いずれも演技力に定評がある俳優ばかりで、序盤の奇想天外な設定も、違和感なく観ることができます。美雪はスクリーンを飛び出すにあたり、「人間に触れられたら消える」という定めを負わされていました。その定めは物語の中盤まで明かされないため、ただひたすらに気高いお姫様、という印象を受けます。そんなお姫様に振り回される健司の情けない様子が、笑いを誘います。ある日、2人は仲違いして、美雪は映画の世界に戻ることを考えますが、ついに自分の定めを健司に打ち明けます。その後、2人は一緒にいる事を決意します。肩を抱きたい時にも、触れ合うことができない。キスしたい時には、ガラス越しに唇を重ねる。手を繋ぎたい時にはネクタイを両方から持つ。そんなまどろっこしさが、綾瀬はるかと坂口健太郎の名演技で美しく表現されているのです。健司は着々と年齢を重ねていきますが、美雪はいつまでも若いままで、ついに祖父と孫娘という関係に見られるようになってしまいます。病床に伏す健司は、最後に美雪が長年欲しがっていた「色」を与え、美雪は最後に健司と触れ合うことを望みます。美雪が消えた朝、健司の命も尽きていました。究極のロマンスに快く泣ける映画です。

今夜、ロマンス劇場で
9

2人の愛がずっと続きますように。

映画の中の美雪と、現実世界で映画監督を目指す健司の愛を描いたラブストーリーです。初めは傲慢な美雪の態度にムカムカしますが、それよりも健司の彼女に対する想いが優しさに現れていて、キュンキュンします。彼女は、現実世界で人の温かさに触れると消えてしまうという設定です。
きっと最後には映画館で抱き合って、健司は映画監督になるんだと思っていました。が、彼は美雪に触れなかった。とてもびっくりしました。私なら、愛する人と触れられない生活がこれからずっと続くと思うと、辛さで仕方なく、自ら消えることを選ぶと思ったからです。映画監督のチャンスも消え、美雪が若いままなのに対して、健司が老いて行くのをダイジェストのような感じで見たことで、どんなに辛くても、愛している人といられることが幸せなんだ、と教えてくれていると感じ、涙が止まりませんでした。波打ち際で手を繋いで歩けない2人は、お互い一本の布のようなものを握って散歩しています。それでもお互いを見つめる目は輝いています。最後は入院中の老いた健司に抱きつき、暖かさを感じて消えていく美雪。きっと健司は亡くなったのでしょう。その後、2人はカラーになった映画の世界で愛し続けるのです。これからは違う世界で、思いっきり抱きしめ合って愛し合って欲しい!!と涙が溢れてきました。愛するって素晴らしいです。