機動戦士ガンダム サンダーボルト / Mobile Suit Gundam Thunderbolt

機動戦士ガンダム サンダーボルト / Mobile Suit Gundam Thunderbolt

『機動戦士ガンダムサンダーボルト』とは、原案を矢立肇と冨野由悠季、作画を太田垣康男によるガンダムシリーズの漫画作品またはそれを原作とするOVA(オリジナルビデオアニメーション)作品である。
本作は大元の原作であるアニメ『機動戦士ガンダム』とほぼ同じ時代から数か月たった期間を描いた作品である。
地球連邦軍所属のイオ・フレミングとジオン公国軍所属のダリル・ローレンツのダブル主人公で構成され、二人の宿命的な出会いと運命的な殺しあう様を描いている。

機動戦士ガンダム サンダーボルト / Mobile Suit Gundam Thunderboltのレビュー・評価・感想

機動戦士ガンダム サンダーボルト / Mobile Suit Gundam Thunderbolt
8

これは男の世界を描くガンダムだ。

『機動戦士ガンダム』における一年戦争を舞台にした作品の中で、とりわけ硬派且つ異彩を放つ『ガンダム』の漫画作品。
『サンダーボルト』は2人の男から始まる狂気と愛の二重奏が濃く、それでいて他の『ガンダム』シリーズとは一線を画す、バックナンバーミュージックの数々が特徴だ。

漫画であるはずのこの作品には、音楽の印象を鮮烈に残していく点でとても上手く、描き方や表現にリアリティーが存在する。だがその一方で作中には第3勢力、戦争の狂気が生んだ発明品、理不尽な人の死や人体実験の闇など、挙げていけばキリがないぐらいのR指定設定が存在している。
狂気の発明に至ってはもはや度を越している。だが戦い続ける男たちの悲哀と殺し合う宿命に葛藤し、繋がりを決して安っぽくしない戦う男の世界がこの作品には存在しており、特に後半の失うことの辛さを糧に立ち上がるそのカッコよさはまさに男の美学である。惹かれないはずがない名シーンだ。
また作中には『ファーストガンダム』を知る人ならニヤリと出来る小ネタが仕込まれているので、探してみるといいかもしれない。

何より宇宙世紀の作品では良作であり、珠玉の宇宙世紀体験が叶うことを含めれば、『ガンダム』のヘビーユーザーもビギナーも総じてオススメ出来る漫画である。

機動戦士ガンダム サンダーボルト / Mobile Suit Gundam Thunderbolt
9

ガンダム好きは必見!!

ガンダムといえばアムロとシャアが戦いを繰り広げた一年戦争が有名。というか、ここがベースになっているのだが、この作品は一年戦争をした時期にはしているもののまったくの別物。つまりアナザーガンダムであるところに話の面白さが詰まっていると思う。
まず主人公のイオ・フレミングともう1人の主人公ダリル・ローレンツ、この2人の数奇な運命が話の面白さを際立たせている。
一見ご都合主義じゃないか?と思えるようなところもあるかもしれないが、そこはまあご愛嬌ということで…。
また、作者の太田垣先生が腱鞘炎になったため、絵柄が違うところがコミックス(13巻109話~)にはあるが、それでも細部の描きこみやキャラクターたちの表情などは本当に自分がその場にいて、実際に目の前で悲劇が繰り返されているような感覚をあじわうことができるうえに、アニメではないが、キャラクターたちの息遣いをリアルに感じることもできる。
モビルスーツも太田垣先生独自のリメイクがされており、初代ガンダムだと癒しモビルスーツだったアッガイが、あんなにもマッシブにかつ素早く動いているところは大変見ごたえがある。
また、その他の量産機にもそれぞれ独自の見ごたえがあり、新旧ガンダムファン皆が楽しめる作品であると思う。