ふしぎの国のバード / Isabella Bird in Wonderland

ふしぎの国のバード / Isabella Bird in Wonderlandのレビュー・評価・感想

ふしぎの国のバード / Isabella Bird in Wonderland
8

歴史の勉強にも単純な読書にもお勧めです。

明治時代の日本の生活に興味のある方におすすめです。
(興味がない方にも単純に物語としておすすめです。私は特には興味ありませんでしたが楽しめました。)

内容はイギリス人の女性冒険家イザベラ・バードの著書 日本奥地紀行(※邦題) のコミカライズとなっており、
現代的な絵で読みやすく描かれています。
本作を読んで興味があれば原文の方も読んでみると知識の幅が広がるかもしれません。
(私は読んでいませんが、、)

外国人である主人公の目線から当時(1878年(明治11年)の話)の古い習慣(江戸時代から続く髷や牛肉を食べる習慣が無い等)と欧米から伝わった新しい習慣(鉄道や西洋医学、洋食等)の混在した生活が描かれており、現代の日本人の感覚から見ても主人公の反応に共感しながら読んでいけると思います。

また、日本独自の考え方をイギリス人の主人公が知っていく物語のため、
良くテレビ等で見る日本の文化を外国人に紹介するような内容が好きな方は同じように楽しめるかもしれません。

登場キャラクターについても魅力的に書かれており、主人公のイザベラ・バードと日本人ガイド(通訳)の伊藤鶴吉との関係も、物語が進むにつれて深まっていく様子が書かれており、二人の姉弟のような関係も見どころの一つです。

歴史が好きな方にも単純に漫画が好きな方にもお勧め出来る内容です。
(当時の整備されていない日本を描写する為汚い表現も偶にあるので食事中の方には向かないかもしれません)

ふしぎの国のバード / Isabella Bird in Wonderland
9

明治初頭の東北庶民の暮らしぶりが学べる!

1878年(明治11年)、イギリスの女流冒険家イザベラ・バードは、横浜で通訳として雇った伊藤鶴吉と、陸路で蝦夷地を目指す前人未到の旅に出る。イザベラ・バードは実在する人物で、史実をベースに物語は進んでいく。
東北の西海岸ルートを行く旅がバードの視点から描かれており、日本人の話す言葉は全て記号のような理解不能な文字で表現されていたり、バードを好奇心から容赦ない視線で見る日本人たちの目が不気味で恐怖を感じたり、と私たちも海外旅行で感じるような異国でのあの独特な不安を、バードを通して感じることができる。
庶民の暮らしや文化が、物語に数多く描写されており、異国人のバードには理解しがたい習慣(例えば混浴)や、同じ日本に住む私たちでもギョッとするような知恵(石を股間に擦り付けて剃毛をする)などを知る民俗資料としても楽しめる。
明治初期の偉人を主人公にした作品は映画やドラマ、小説、漫画で目にすることは多いが、この「ふしぎの国のバード」はその頃の地方の庶民の暮らしぶり、都市によって生活水準にかなり差があること、さらにはそれを異国人からの視点を通してみることができる作品で、冒険漫画としても歴史漫画としても民俗資料としても何通りもの楽しみ方ができる。