ルームロンダリング

ルームロンダリングのレビュー・評価・感想

ルームロンダリング
8

笑えて切ないホラーなコメディー

池田エライザ、オダギリジョー主演のホラーコメディー。
事故物件に数ヶ月住まわせることによって、その物件は事故物件ではなくなる。
池田エライザ演じる御子(みこ)は、叔父が不動産屋から依頼される事故物件に住むという仕事をしている。
御子には幼い頃から、この世のものではない者が見える。依頼された物件で何か見たり聞いたりしても一切関わらない、また近所の人とも関わらないというルールで仕事をしていたのだが、あるアパートに住む事になり、そのルールが通用しなくなってしまったのだった。
あらすじだけを聞くとなんだがおどろおどろしい雰囲気の映画と思われるが、出てくる元住人がやたらと魅力的かつユーモアに描かれている。
どの元住人も自殺や他殺と不幸な亡くなり方をしているのだが、コミカルに描かれていてつい笑ってしまう。
そんなコミカルな元住人達だが、思いを残したままこの世を去った悲しみには思わず涙してしまう。
御子を父親代わりに支える母方の叔父を演じたオダギリジョーの、優しく見守る表情が素敵である。
ラストはなんとなく想像のつく範囲ではあるがホラーコメディーでありながら、1人の少女が死者と関わる事で己の心の殻を破り成長していく姿は感動ものである。

ルームロンダリング
9

ほっこり、そしてほろり

いやぁ、良かった。とにかく良かった。なんの情報もなしに見たが、心をひょいと持ってかれた。
この世に未練のある幽霊達が少女と出会い、果たされなかった想いを浄化していく、そんな題材。一見ずっしりと重くなりそうな題材だが、それが軽やかに、清々しさを残すような映画に仕上がっていた。
池田エライザちゃんはあまり女優として拝見したことはなかったが、今回の影のある不器用な少女の役は自然と感情移入できるような演技でとても良かった。ラスト近くの母と対面するシーンは完全に心を鷲掴みにされほろりと涙が出てきた。
何より良かったのが、渋川清彦さんの演じるロックなミュージシャン。夢敗れ自殺した過去がある。それでいて明るく陽気に振る舞う姿が、チャーミングで愛くるしい。その演技力に今後も見逃せない俳優さんだなと思った。
今自分が死んだらどう思うかな。後悔だらけで成仏できないかなぁ。生きていさえすればきっとどうにでもなる、どうにだってできる。後悔のないように日々をがむしゃらに生きる、そんなことを考えさせられた。見終わった後に自分自身も浄化されたような感覚で、なんだかとても心地の良い映画だった。たくさんの人にオススメしたい映画になった。