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ほっこり、そしてほろり
いやぁ、良かった。とにかく良かった。なんの情報もなしに見たが、心をひょいと持ってかれた。
この世に未練のある幽霊達が少女と出会い、果たされなかった想いを浄化していく、そんな題材。一見ずっしりと重くなりそうな題材だが、それが軽やかに、清々しさを残すような映画に仕上がっていた。
池田エライザちゃんはあまり女優として拝見したことはなかったが、今回の影のある不器用な少女の役は自然と感情移入できるような演技でとても良かった。ラスト近くの母と対面するシーンは完全に心を鷲掴みにされほろりと涙が出てきた。
何より良かったのが、渋川清彦さんの演じるロックなミュージシャン。夢敗れ自殺した過去がある。それでいて明るく陽気に振る舞う姿が、チャーミングで愛くるしい。その演技力に今後も見逃せない俳優さんだなと思った。
今自分が死んだらどう思うかな。後悔だらけで成仏できないかなぁ。生きていさえすればきっとどうにでもなる、どうにだってできる。後悔のないように日々をがむしゃらに生きる、そんなことを考えさせられた。見終わった後に自分自身も浄化されたような感覚で、なんだかとても心地の良い映画だった。たくさんの人にオススメしたい映画になった。