戦後すぐの日本映画には名画が多い。
日本映画「東京物語」は、世界的にも評価が高い。
監督小津安二郎の世界的評価も高く、ご存じの方も多いとは思いますが、詩情豊かなその映像は、わかる人にとってはこの上なく貴重な映像の数々です。
小津安二郎監督は、「東京物語」をはじめ、「麦秋」「彼岸花」「秋刀魚の味」「大学は出たけれど」などの数々の名作を生み出し、多くのファンがいて、日本のみならず世界的に名高い監督です。
その映像は、人物描写では、独特のローアングル、また登場人物の会話のやり取りの独特の間(ま)などで観るものをひきつけ、味わい深いです。
「東京物語」についても、主人公の老夫婦の夫のほうに扮する笠智衆と、登場人物との掛け合い、セリフのやり取りは、味わい深いという言葉だけでは及ばないぐらいの、深い印象を与えます。
ストーリーは、わりとシンプルです。広島・尾道に住む老夫婦が、子どもたちに会いに、東京へと旅をするという話です。
子どもたちはみな、もう大きく、独立していて働き、所帯を持っているものも多い。ただ、老夫婦(老父、老母)が東京に遊びに来るといっても、子どもたちはみな忙しく、老夫婦に久しぶりに会うのは、うれしいとはいえ、皆少し困惑気味。なかなか、東京見物に連れて行ってあげられない。
ただ、息子の嫁(息子は戦死)だけが暇を作って、老夫婦を東京見物に案内してくれる。この息子の嫁役が、知る人は知る名女優・原節子です。
笠智衆と原節子の、掛け合い、会話のシーンは、観客に深い印象を与えると思います。
ごく一部ですが、「東京物語」についてお話させていただきました。