戦時下を生きる夫婦の物語
主人公は戦時中の日本陸軍のパイロットで、最前線勤務からテストパイロットの任を受け帰国したところから物語は始まります。
テストパイロットとして新型機の様々なテスト飛行をこなす一方、一緒に暮らす奥さんとの日常が描かれていて、当時の生活がどのようなものだったのかも分かります。
戦時中を描いた作品と言うと、やはり悲惨な内容を想像しがちですが、この作品は当時の日本の軍用機や運用の紹介が多いです。悪化していく戦局を憂う主人公の思い、そして奥さんとの日常生活を中心に描かれているので戦闘シーンも少なく目を背けたくなるような描写はありません。どちらかと言えば、夫婦のやり取りを読んで“クスッと”する事が多い作品です。
テストパイロットという事もあり、様々な日本陸軍の戦闘機が登場し、その機体のことが詳しく描かれているので、戦史やミリタリー、特に日本軍の航空機が好きな方は読んで絶対に損はない作品とお勧めできます。
一方、戦史にもミリタリーにも興味が無い方にも現代とは異なる夫婦の日常を描いた作品として読んで頂ける作品です。徐々に戦況が悪化し、夫婦が住む東京にも空襲が始まる中、夫婦がどう生きていくのか?そして、生き延びることが出来るのか?
上下巻の2巻で構成されているので最後まで一気に読むことが出来る良作です。