信じればよかった
この作品のオダギリジョーは、セクシーすぎて困ってしまいます。兄弟の間に一人の女がいて、その女の転落死をめぐる話です。女は真木よう子が演じていて、これまたきれいでした。兄は香川照之さんで、暗くてなんか不気味な役です。彼が、わざと女を落としたのではないかという話なのですが、香川さんはただお喋りが苦手な人のいい人のようにも見えるし、思い詰めたら暴力的なことをする人のようにも見えるし。結局香川さんが有罪なのか否かわからなかったです。自己弁護の下手な人は確かにいて、悪いことしてないのに誤解されたり、罪に問われたりするから、見ていて怖くなりました。弟は兄が殺したのではと思っていて、だから結局あんなことを言ってしまったけど、どこか偏見があったのかもしれません。すごく悲しいし切ない話だと思いました。最後、オダギリジョーが「にいちゃん、にいちゃん」と、子どものように兄を呼ぶところが印象的で、その場面をよく覚えています。ああ、いくつになっても兄は兄、弟は弟なのだなと思いました。後悔しても遅いけど、後悔せずにはいられない、そんな心境だったのでしょう。あのとき、あの子が落ちてなければ、いや、落ちたあとも兄を信じきれていたら、起きなかった悲劇に涙が出ます。