ゆれる

『ゆれる』は2006年に上映された日本映画である。キャストにオダギリジョー、香川照之、真木よう子、新井智文が参加。監督・原案・脚本を西川美和担当した。東京でカメラマンをしている早川猛(はやかわ みのる)が母親の法事で故郷に帰省してきたことからはじまる。兄の早川稔(はやかわ みのる)が切り盛りするガソリンスタンドで働く、かつての恋人"ちえちゃん"(川端智恵子)との再会によって、ストーリーが急展開をしてゆく。三角関係によって、引き起こったとある事件をきっかけに、弟の猛は、兄の稔を守るのか?それとも自分を守るのか?それとも…?といった、邦画のなかでも最後まで展開のわからない、まさしく「どんでん返し」な内容に、映画好きのなかでは人気の高い作品でもある。ミステリー要素が多い一方で、「兄弟」「田舎」といった日本の問題や家族愛の部分も描いている。第30回日本アカデミー賞ではオダギリジョーが優秀主演男優賞、香川照之が優秀助演男優賞を受賞するなど、難易度の高いテーマに向き合い表現したところも評価されている。

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ゆれる
8

信じればよかった

この作品のオダギリジョーは、セクシーすぎて困ってしまいます。兄弟の間に一人の女がいて、その女の転落死をめぐる話です。女は真木よう子が演じていて、これまたきれいでした。兄は香川照之さんで、暗くてなんか不気味な役です。彼が、わざと女を落としたのではないかという話なのですが、香川さんはただお喋りが苦手な人のいい人のようにも見えるし、思い詰めたら暴力的なことをする人のようにも見えるし。結局香川さんが有罪なのか否かわからなかったです。自己弁護の下手な人は確かにいて、悪いことしてないのに誤解されたり、罪に問われたりするから、見ていて怖くなりました。弟は兄が殺したのではと思っていて、だから結局あんなことを言ってしまったけど、どこか偏見があったのかもしれません。すごく悲しいし切ない話だと思いました。最後、オダギリジョーが「にいちゃん、にいちゃん」と、子どものように兄を呼ぶところが印象的で、その場面をよく覚えています。ああ、いくつになっても兄は兄、弟は弟なのだなと思いました。後悔しても遅いけど、後悔せずにはいられない、そんな心境だったのでしょう。あのとき、あの子が落ちてなければ、いや、落ちたあとも兄を信じきれていたら、起きなかった悲劇に涙が出ます。