不朽の名作。ボクシング漫画の金字塔!
連載終了から半世紀近く経ってもなお常に歴代名作漫画の首位を争うちばてつや氏の代表作品。その魅力はなんといっても主人公、矢吹丈のキャラクターに尽きる。決して正義のヒーローでも熱血漢でもなく、どちらかといえば陰気で卑屈なキャラクターだが、それが人間臭くてとても良い。また、安易にチャンピオンまでの軌跡を描いているようなありきたりなボクシング漫画じゃなく、ジョーとジョーを取り巻く周囲の人間ドラマが物語の中心であり、実際ジョーが作品中で獲得したタイトルは東洋チャンピオンのみ。世界チャンピオンどころか日本チャンピオンにすらなっていない。物語の中心は、前半が少年院時代に出会った宿敵、力石徹との対決。後半は力石の死後から世界タイトルマッチまでと大きく分けることができる。はっきり言って力石徹との対決がこの漫画のピークで、事実一般的にはこの時点で物語が終了している人がほとんどで、それ以降のストーリーを覚えている人はあまりいないのではないだろうか。しかしながら、力石の死後からが本当にこの漫画が面白くなってくるのであって、ジョーが力石の死後どう立ち直っていくのか、そして新たに目標とするものは何なのか?壮絶な減量との闘い、パンチドランカーの発症等、盛沢山すぎる内容で、絵柄も急激に格好良くなっていくので是非、力石の死後からの物語をしっかり読んでほしいと思います。あの有名なラストシーンは何度読んでも感涙ものです。