究極の癒し
新海誠さんの小説「言の葉の庭」の映画。言葉で表せられないくらいにとにかく美しい。
「君の名は」で大ヒットした新海誠さんだが個人的には言の葉の庭の方が現実味が強くしんみりとした感じが好き。映像も音楽も文句の付け所がない。映画にしては、それぞれの登場人物のセリフ量はとても少ないのだが、絶妙な雨や光の描写だけで登場人物の繊細な心を全て表現できている。特に雨が物語の中で大きな役割を果たしているのだが雨が滴る音、地面に当たって跳ねる音、激しく力強く降る音など雨の映像だけでも映画が一本作れると思うほど素晴らしい。またエンディングで流れる秦基博さんによるrainという曲のカバーが映画にぴったりで最高だ。
この映画を観た後は雨の日には、決まってこのrainが聴きたくなる。上映時間46分と非常に短い映画でだがそれを感じさせないくらいの内容の濃さと満足感が得られる。
個人としても言の葉の庭は6、7回は見ているので何度見ても飽きない映画だ。原作に比べ情報量は一段と少ないが、とても秀逸にまとまっていて大事な場面がしっかり抜粋されているので不満はない。原作が再現されていない映画でがっかりする事は良くあることだが、言の葉の庭に関しては原作を既に知っていても映画も全く違う魅力があるので観ることをお勧めする。
反対に、映画を先に観たという人は原作を読むことによって細かい情報が得られ映画では少ししか触れられなかった孝雄の兄や雪野の元恋人、高校のクラスメイト、更には孝雄のバイト先の先輩達にまで触れられているのでより言の葉の庭を知ることができる。映画、小説どちらも素晴らしいの両方とも観て読んでほしい。