安心感と安定感そして変わらぬ少年っぽさ
80年代のデビューからずっと同じメンバーで活動を続けている稀有なロックバンドです。当初はパンクバンドとしてスタートしましたが、その後は切ないメロディラインが魅力のロックバンドとして第一線を走り続けています。同期にはミスターチルドレン。よく比較もされます。
楽曲はロックバンドながら、少し歌謡曲っぽさもある穏やかで切ない曲調のものが多く、「空も飛べるはず」などは合唱曲としても使用されていて老若男女に親しまれています。
このバンドの魅力は楽曲もさることながら、安定感のある演奏とボーカル草野マサムネさんのハスキーで甘く切ない歌声にあります。
崎山さんの包容力ある安定のドラム、リーダーでベースの田村さんの意外にもアグレッシブなプレイスタイル、奇抜なファッションからはちょっと想像できないギター三輪さんの切ないアルペジオ。
そして、なんと言っても草野さんの唯一無二のボーカルです。力が抜けていて安心して聞いていられる穏やかな歌声ですが、ハスキーながら伸びやかで少年ぽさを含み、聴いているこちらを他にない「スピッツの世界」に誘います。
総括して、幅広いリスナー層に受け入れられやすいバンドだと思うのですが、それは、彼らが長年ぶれることのない芯を持ち続けて私たちを裏切ることの無い誠実さで音楽を奏でてきたからにほかならないと思います。