悲しくて優しい鬼退治
貧しいながら家族と幸せに暮らしていた主人公・竈門炭治郎が家族を惨殺され、唯一残った妹・禰豆子が鬼にされてしまったところから話が展開していく。そもそも、最初は炭治郎も鬼の存在を信じていなかった。
そんな中何者かに家族は惨殺され、妹は鬼になり、炭治郎も何が起こったかわかっていなかった。ちょうどその時政府非公認の”鬼殺隊”の富岡義勇が鬼がいるとのうわさを聞き、その場面に出くわす。鬼殺隊はその名の通り鬼は絶対悪で殺すものだと考えている。なぜなら、鬼は必ず人を喰う生き物だからだ。最初は禰豆子を殺そうと思った富岡だが、人を喰わず、兄・炭治郎を守ろうとするところを見て、何かこの鬼は違うと感じた。そこで自身の師匠にこの兄妹を預け、炭治郎は鬼殺隊へ入り、禰豆子を人間へ戻す方法を探す。
この物語の良いところとして、とにかく登場人物が魅力的。特に主人公・炭治郎はとてつもないほど優しい。鬼にさえ。ただよくある陳腐な誰も殺したくない、覚悟がない甘ちゃんではない。もちろん人々を傷つけた鬼は許せない。罪のない人を殺した罰は死んでも償ってもらう。
ただ、鬼は皆元人間だったのだ。鬼が死ぬ間際に罪を償おうとするのなら炭治郎は、自分を殺そうとした相手でさえ、手をとり、看取る。
例えば遊郭編で兄妹の鬼がいたが、その鬼二人が死ぬ際にお前のせいで死んだんだ、とお互いのことを罵り合い死に絶えるところだった。この鬼も親がなく、兄と妹だけで、炭治郎たちと似たようなことろがある。
炭治郎は、「嘘だよ。本当はそんなこと思ってないよ。仲よくしよう。この世でたった二人の兄妹なんだから。君たちのしたことは誰も許してくれない。殺してきたたくさんの人たちに恨まれて憎まれて罵倒される。味方してくれる人なんていない。」「ーーだからせめて二人だけはお互いを罵り合ったらだめだ。」たくさんの人を殺し、死に絶え行く鬼にさえ、心をもって接する。
本当に炭治郎尊い。一番好きな主人公になりそう。一番強いとかではないし、成長スピードが速い、チートな能力があるわけでもない。でもすごく人間としての魅力が天元突破している。ぜひいろんな人に見てもらいたい。