バレーボール好きな人も、あまり知らない人もきっと引き込まれる!熱いモノがぎゅうぎゅうに詰め込まれた傑作
ハイキュー!!のタイトルは「排球」つまりバレーボールのことなのですが、読めば読むほど「ああ、確かに『ハイキュー!!』って感じだ」と、末尾の『!!』が表す熱さを随所に感じさせられます。
ジャンプと言えば「友情・努力・勝利」が定番のキーワードですが、それだけではありません。個性豊かなキャラクターたちの人間模様、それぞれの信条やこだわり、バレーボールに対する姿勢や心境の変化、葛藤・衝突・成長の過程などが、非常に丁寧な絵とドラマティックな演出を駆使して描かれています。
高さが武器であるバレーボールの世界で、低身長のカリスマが放つ存在感、それに衝撃を受けた主人公・日向翔陽の成長は特に、目が離せません。ライバルは他校の選手に限らず、チームメイトはもちろん、自分さえも越えていく対象と、貪欲に様々な情報と経験を吸収し、自分のものにしていきます。そして、周りにもまた負けず嫌いで、向上心でギラギラしたメンバーが揃っていて、ガチンコのぶつかり合いに心理戦や駆け引きも交え、コート上の熱戦を盛り上げてくれます。
各々のキャラクター「らしさ」が確立している、日常の何気ないやり取りも魅力的です。
個人的に特筆すべきはコマ割で、これは本当に読んでいただければ一番実感していただけることですが、とにかく魅せ方が抜群に巧いです。思わず息を飲む、やられたと思ってしまう、感嘆を漏らすしかないような「グッとくる」場面がいくつもあります。絵自体の上手さはもちろんですが、そこに至るまでに張り巡らされた伏線の、パズルのピースがピタリとはまる瞬間に似た心地よさと、驚きと、感動を、もっと多くの人に知ってほしいと思います。