見かけは豪華で先進的
かつてブレードランナーを契機に「近未来的仮想アジア」というべき世界観が誕生し、様々な作品の背景となってきました。それに対する呼び方をするとこの映画ブラックパンサーの舞台は「近未来的仮想アフリカ」です。ワカンダ王国と呼ばれる主人公たちの故郷は、超科学を持ちながらその真の姿をかくすことによって長年の平和を保っています。街中にはリニアが走り、医学は脊椎損傷を一瞬で治し、王が身にまとう「ブラックパンサー」のスーツは銃弾を通さず、受けた攻撃をエネルギーとして溜め込む事ができる。しかしそのデザインは全てアフリカの民族意匠が生きたもので、王が即位するときには滝の上で野蛮な「決闘」を行うのです。
ストーリーはこのワカンダが持つハイテクノロジーが外国に漏れ、その犯人である男が王国に帰還する事で進んでいきます。王と犯罪者、2人のブラックパンサーの対決がこの国の行く末を決めることになる…と書くとヒーロームービーというより大河ドラマのようですが、中盤以降はまさにこの「国取り」の物語が主軸になっていくので、予想を裏切られる人も多いかもしれません。個人的には、王である主人公の敗北から復活があまりにあっさりしていて、後半はまとめに入ったなという感が否めませんでした。衣装、舞台は斬新。ストーリーは…という事で、見る価値はありますが評価は5でした。