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ずっと見て居たくなる、9センチの美しい世界
身長9センチの小人の女の子、ハクメイとミコチの日々の生活を丁寧に描いたお話です。
特に大きな事件が起きたり、感情を大きく揺さぶるようなセンセーショナルな事が起きるわけではなく、市場に買い物にいったり、周辺に住む住人との交流、仕事の風景、近所で行われるお祭り、行きつけの喫茶店の物語など何気ない日常を丁寧に楽しんで過ごすハクメイとミコチが細かく描かれていてまるで本当にある世界のように細部まで描かれているので、その小さな世界をハクメイとミコチと共に探検しているような気分になれます。
中でも、食べ物や料理の描写はとても魅惑的で、あたたかいお茶やおいしいお酒とそのお伴を用意して見られる事をおすすめします。
また、個性豊かで枠に囚われないキャラクターの生き方も魅力の一つ。
ハクメイは大工仕事を得意とするおおらかな性格で、男と間違われても全く気にすることなく包丁研ぎや大工を生業としています。
ミコチは料理や裁縫が大得意で自分の作るジャムやハーブティーや雑貨を商店に卸しています。
その他にも、自由気ままに生きる吟遊詩人のコンジュ、研究に打ち込むセン、受け継いだお店を営み続ける喫茶店のマスターなど。
性別や常識に囚われず、ありのままに生きる彼女たちの生き方にはっとさせられたり、穏やかな作風の中にも沢山の事を感じる事ができる作品です。