るろうに剣心の世界感に酔う
るろうに剣心シリーズは、佐藤健の年齢と共に醸し出される魅力がその都度の作品に出てきます。佐藤健という俳優の好き嫌いよりも、るろうに剣心が生みだした時代背景や人間模様、当時の社会通念など見どころ満載でした。
剣心と対峙する悪役達も、かなり個性的なキャラクターでそれぞれにも思い入れが出てきました。作品全体の根底にある哀しみをそれぞれの役者が、その表情、セリフ、佇まいからしみじみと演じていて、どの役者もさすがだと感嘆しました。シリーズの最終章があえて、始まりに持っていったところも惹きつけられます。人はこんなにも感情を押し殺せるのか、心のためにこんなにも強くなれるのかなどと考えさせられます。
またセットもシリーズ全体に渡り、哀愁が漂い、渋い造りになっています。小道具一つにも思い入れが感じられます。全体の色彩も琴線に響くものがあります。日本の、そして当時の様子が、教科書で教わったものと比較して考えていけるものでした。
緋村剣心という人物像を通して、時代の大きな流れの中に実際に入って行くような、雄大な時の流れのもとで、無力な一人間としてたたずんでいるような錯覚に陥ります。それほど、見るものを作品に引き込む素晴らしいシリーズです。