あん(映画)

あん(映画)

『あん』とは、2015年5月に公開された、日本・フランス・ドイツの合作映画。原作は2013年2月に出版された、ドリアン助川による同名小説である。
どら焼き屋の雇われて店長として働いていた千太郎は、美味しいあんの作り方を知っている76歳の女性・吉井徳江を雇う。彼女のおかげで店は繁盛していくのだが、徳江がかつてハンセン病を患っていたという噂が流れたことをきっかけに客は減少。千太郎は徳江を辞めさせなければならなくなったのだが、どうしてもその後の徳江が気になり、彼女の足跡を辿っていく。監督・脚本は河瀨直美。樹木希林が主演を務めた。

2ms19162229のレビュー・評価・感想

あん(映画)
9

役者陣が素晴らしい

この映画は、芸達者な役者陣か揃えられたことに尽きると思う。樹木希林は言わすもがな。永瀬正敏の、言葉は尽くさなくても、表情で語る感じ。情けなくて時々イライラするけど、優しい小心者は、心に響く。そして浅田美代子。嫌な女。下世話な話し方、下品な雰囲気、いやな目つき。だけど、俗っぽさが妙なリアリティーを生み出していて、自分の中にもこの女みたいなところあるなって、気付かされてしまう。差別とか、色眼鏡とか、ほんと人間の汚い面を見せられて、辛くなるけれど、だからこそそれに向き合って、考えないといけないんだって、思わせてくれる作品。樹木希林の存在が、どーんとこの話の底辺に横たわっているから、最後までしっかりと観ることができるのかな。
本当に、非のうちどころのない映画だと個人的には思うが、「あん」っていうタイトルだけが、少しばかり違和感感じるのは私だけだろうか?毎日練り続ける魅惑のあんこもだけど、めちゃくちゃ美味しそうな皮も、主役にならないのか?いっそのこと、タイトルがどら焼きだったら良かったのにな。
それはさておき、こんな作品を鑑賞してしまうと、樹木希林という女優さんの損失は日本映画界にとってダメージ大きすぎると改めて感じる。