あしたのジョー / Ashita no Joe

あしたのジョー / Ashita no Joe

『あしたのジョー』とは、高森朝雄(梶原一騎)原作、ちばてつや画による日本の漫画作品、もしくは漫画原作のアニメーション。講談社の『週刊少年マガジン』に、1968年(昭和43年)1月1日号(発売日は1967年(昭和42年)12月15日)から1973年(昭和48年)5月13日号にかけて連載された。
野生の本能を持った孤児矢吹丈が、ボクシングの才能を買われ孤独な戦いを繰り広げる。ボクシングにかける男の美学が、美しくも切なくもある。

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あしたのジョー / Ashita no Joe
10

真っ白に燃え尽きるまで……完全燃焼した男のドラマ!

「あしたのジョー」は日本マンガ史に残る最高傑作の一つだ。
流れ者の少年・矢吹丈(ジョー)はふらりと立ち寄ったドヤ街で、元プロボクサーの丹下段平と出会う。優れた身体能力と野性の勘を持つジョーに、ボクサーとしての可能性を見いだした段平は、嫌がるジョーにしつこくボクシングを教え込もうとするが、ジョーは詐欺事件を起こして少年院に送られてしまう。そこで終生のライバル・力石徹と対立して…。
丹下段平を通してボクシングと出会い、力石徹との闘いの中でその世界にのめりこんでいく。冒頭から、不良少年ジョーがボクサーの道を歩むきっかけが丹念に描かれ、ジョーというキャラクターの印象を読者に強く打ち込む構成になっている。
力石をはじめ、カーロス・リベラ、ホセ・メンドーサなどの強敵たちとの死闘の中で、激しく自身を燃え上がらせるジョーの鮮烈な個性と、彼を取り巻くキャラクターたちの生き様が、重厚な人間ドラマとして描かれ、マンガのキャラでありながらそのリアルな造形が実に魅力的である。
前半は丹下段平との師弟愛が、後半はヒロイン・白木葉子の複雑なジョーへの想いがストーリーの軸となっており、そして全編を通して、永遠のライバル・力石徹へのジョーのこだわりが感じられ、その奇妙な友情が読者を熱くさせる。
また、ジョーとは違い、「平凡だが幸せな家庭」を選んだ西と紀子が、ジョーの生き方と対照的であり、どちらが良いのか考えさせられる。
そしてジョーの、ひたむきなまでの情熱と闘魂が真っ白に燃え尽きる結末は、読者の心に残って永遠に消えることはないだろう。