大神

大神

『大神』とは2006年にCAPCOMより発売されたPlayStation 2用アドベンチャーゲーム。
古代日本や昔話をモチーフにした世界観であり、水墨画を思わせるグラフィックが特徴。伝説の大神であるアマテラスが、イッスンら仲間たちと共に妖怪たちと戦い、荒廃した世界を蘇らせていく。第10回文化庁メディア芸術祭エンターテインメント部門大賞受賞、2007年度日本ゲーム大賞優秀賞受賞など、高い評価を受けている。

peche3m0m03のレビュー・評価・感想

大神
10

和の心が詰まった不屈の名作

『大神』はプレステ2向けのソフトとして発売されたのが最初でした。
その後高画質版が発売され、Nintendo Switchに移植されるなど、何度となく世に同タイトルが生み出されてきました。この事からもいかに評価されている作品かお分かりいただけると思います。
私がこの作品でオススメしたいポイントは3つあります。
1つ目は「音楽」和楽器をベースに奏でられる音楽は、筆で描かれたような世界観と相まって和の世界を見事に表現しています。純粋に音楽としても素晴らしいのですが、音楽の使い方がとても見事なのです。例えば、主人公であるアマ公ことアマテラスオオミカミが冒険するフィールドは、最初妖怪の邪気に汚染された状態になっています。物語が進み新たな地に踏み込むたび、まずはその邪気にまみれた大地を進み、「大神おろし」を行って邪気を払う必要があるのです。この邪気にまみれたフィールドでの音楽は、使用される楽器数を少なめに物悲しい雰囲気を漂わせています。それが「大神おろし」を行うと一変します。ベースとなる音楽は同じなのですが、楽器数が増え、とても晴れやかな、本来の生命力あふれる大地を思わせるような音楽に変わるのです(余談ですが大神おろしもとても美しい映像なので、そちらもおすすめです)。映像だけでなく音楽にも変化を付けることで、邪気を払う前後の変化をより強く感じられると思います。そういった「音楽による気持ちの盛り上げ」が本当に絶妙なのです。
2つ目は「主人公が犬であること」です。本作の主人公アマテラスオオミカミは、白い犬の姿をしています。犬の姿とはいえ偉大な神様なわけですが、登場時からあまり自覚がなさそうな、どこか抜けたところがあるのです。純粋に犬が冒険を楽しんでいるようなほのぼのした雰囲気を楽しめるのですが、困っている人を助けたり、妖怪の親玉を退治するときは別人(別犬)のような頼もしさも見せます。その緩急にとても愛着が湧くのです。本作は日本神話をベースにした神様の物語ですが、人の姿をしていない事で「見えない力」「知らないところで守ってくれている存在」というあやふやな物が落とし込みやすくなっていると感じます。犬好きな人にはとてもオススメですし、犬が好きでなくても動物が好きな人、自然が好きな人にはオススメできるポイントです。
3つ目は「ストーリー」です。日本神話がベースであると前述しましたが、あまり詳しくない私でも多少知っている名前が出てくるくらい有名な名前がたくさん出てきます。日本神話と言われて難しそう、と思う方もいるかも知れませんが全くそんなことはなく、分かりやすい構成になっています。日本に昔から八百万の神という考え方があるように、様々な神様が登場するのですが、それぞれが個性を持っており、またそれがとても親しみを持てるのです。人だけでなく全てのいきとしいけるものに「アマテラスオオミカミとして」触れながら冒険を続け、そしてたどり着く最終地点で、アマ公は強大な敵と対峙することになります。その姿に涙が止まらなかったプレイヤーも多かったのではないでしょうか。このゲームを通して、最終局面を迎えて、私は神様ってこんなふうに、私達の知らないところで守ってくれているのかも、と思えました。是非この物語は実際にプレイして、感じてほしいと思います。
私は日本人らしい気持ちをこのゲームを通して思い出せた気がしますし。そんな堅苦しいこと抜きに、「優しい気持ちになれるゲーム」だと思います。
和テイストが好きな方、生き物が好きな方、ちょっと心が疲れ気味な方に是非オススメしたいゲームです。