るろうに剣心 最終章 The Beginning / Rurouni Kenshin: The Beginning

るろうに剣心 最終章 The Beginning / Rurouni Kenshin: The Beginning

『るろうに剣心 最終章 The Beginning』とは、和月伸宏の人気漫画『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』の“追憶編”と呼ばれる中編エピソードを原作とする実写映画。剣心の人斬り時代の苦悩と絶望と喪失が描かれている。2012年から始まった「実写版るろうに剣心」の最後を飾る作品。
時は幕末。維新志士の剣心は幕府要人を次々と暗殺し、最強の人斬りと称されるも、「自分の行いは本当に正義なのか」と悩み続けていた。そんな折、剣心は雪代巴という少女と出会い、彼女との交流の中で本来の己を取り戻していく。

2qneodeli413のレビュー・評価・感想

レビューを書く
るろうに剣心 最終章 The Beginning / Rurouni Kenshin: The Beginning
8

平和と戦い

最初あのシーンから始まるとは!抜刀斎の狂気が滲み出ているけど、でも芯のところは人を斬らない新時代を思って自分を犠牲にして佐幕派を斬り続けている。ただ、そんな人斬り家業を続けている自分に疑問を抱きはじめてもいた。そこへ復讐心を見せず剣心に近づく巴。彼女の言葉の端々に人斬りを止めさせようとする心が透けてみえる。特に巴さんの「平和のための戦いなんて本当にあるのでしょうか」という言葉が印象的だった。幕末を生きる殆どの人々にとって、あのままの時代・体制で幸せだったのではないだろうか。ただ、残りの一部の人々が糾弾し自分と考えの違う人を斬っていた時代。そういう人に限って「平和」とか「国のため、未来のため」とか、聞き心地の良い言葉を持ち出して自分の考えを正当化し、押しつけようとする。戦いに巻き込まれて死んだ人の遺族には綺麗事の言葉なんてどうでも良い。ただ、「死んだ人が戻ってきてほしい、あの時止めていれば死ななかったのに」という叶わない願いや後悔が募っていくだけだろう。「平和のための戦い」が存在しないことを現代に生きる私たちも意識していかなければならない。深い言葉が多いこの作品、是非一度見てみてほしい。