10
桜の花の落ちるスピードは、『秒速5センチメートル』。
冒頭の桜の花びらが舞い落ちる場面。
ヒロインの「桜の花の落ちるスピード。秒速5センチメートル」というセリフを聞いた瞬間に、自分自身が画面の中に引き込まれるような思いがしました。
新海誠監督作品に顕著な緻密な風景描写はやはり健在ですね。
キャラクターデザインはどこか幼く、素朴さが感じられて良かったです。
映画は3篇からなり、主人公の小学生の頃、高校生の頃、そして大人になってという構成です。
小説の短編集のようでそれぞれにテーマがあったように感じます。
第1編の『桜花抄』では子ども故の無力感や、でも初恋のどうしようもなく純粋な気持ちが描かれていたように思え、第2編の『コスモナウト』ではただ純粋に人を好きになってしまう気持ちや、高校生独特の漠然とした将来への不安が見え隠れしていたりします。
第3篇の『秒速5センチメートル』では、大人になり消費する毎日の疲れや、過去への思いなどが描かれているのかなと感じました。
そして最後に主人公が踏切から目を背け、前に歩き出していくシーンは、感じ方は人それぞれ違うのかなと思います。
この作品の魅力でもありますね。
是非見てほしいです。