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ハクメイとミコチ~小さな者から得る癒し~
全長9cmの人々が暮らす世界が舞台です。動物や植物、虫や食べ物などはこちらの世界と同じ大きさなので、人間にあたる生き物だけが小さいです。設定としてはそこが特徴です。
そんな小さな人の中でもハクメイとミコチを中心に物語は進みます。といっても、オムニバス形式で基本的には1話完結なので、読みやすいです。
活発で明瞭、大工や修理家業を営むハクメイ。一見物静かだが芯は通っている、女房タイプの料理・裁縫の達人、ミコチ。
正反対に見える2人ですが相性は悪くなく、絶妙な距離感で生活している様子が読んでいて心地良いです。
動物や虫が人の言葉を話せる世界、でも何故か鳥は鳴き声だけ…というのがちょっとツッコミどころではあると思います。
登場人物は癖のある性格な者が多いですが、のほほんとした世界感なのでそこまでヒリヒリした雰囲気はないです。
作中にはいくつものオリジナルともいえる料理が登場するのですが、それがまた美味しそうなんです。
酒好きにはたまらないおつまみから自家製リキュール、無法地帯を収束させるカクテルなんていうのも登場します。
ミコチが直々に依頼を受けて料理を作る、といった展開もありますが、良くありがちな料理勝負みたいなものではないです。
ハクメイが大工組合に認められるまでのエピソードが、この作品の肝を1番表現していて個人的にお勧めの話です。