二次創作を学ぶなら、まずは『ジャン神』を読め!
オタクの内輪世界を描いた『私のジャンルに「神」がいます』:真田つづる著(KADOKAWA)は、SNSで大きな反響を呼びました。SNSに最新作が更新されるたびに「綾城」や「おけパ」などの名前が並んでいました。
ストーリーは、とある二次元ジャンルでの天才字書き・綾城と彼女に憧れる同ジャンルのオタク女子たちのリアルな感情を描いたコミックです。
SNSで完結しているのにも関わらず、書籍出版が決まると予約が殺到。WEB上では公開されない書きおろしが収録されたというのも理由の一つでした。
二次創作経験者にとっては共感することが多数書かれており、SNSに続きがアップされると、二次創作経験者たちが個々の経験や感情を織り交ぜながら拡散する様子が繰り広げられていました。
二次創作未経験のオタクたちにも、日常で目にするSNS上でのやりとりだったり「イベント会場で“ジャン神”に会えるかもしれない」と期待できることが共感を呼んだ理由かもしれません。
どうしてこのコミックを読むと「二次創作してみたい」と思えるのでしょうか。
頭の中で描いている妄想を小説にすることで、「誰かに自分の世界観を認められたい」という欲求が生まれるからかもしれません。
このコミックの登場人物の一人は、誰も書いていない前人未踏のジャンルで二次小説を書くことに挑戦します。人気のあるジャンルとは違い、イベント会場でも肩身の狭い思いをしますが、そこでの出会いは読む側も勇気をもらえ、心揺さぶられるシーンです。
そして、“ジャン神”となった綾城も、最初は“自分の妄想を仲間と集まって話す、一般的なオタクの一人”であったということが最終話に描かれています。
そのシーンがラストに描かれていることで、読み終えた後に「自分も妄想を呟くだけではなく、“ジャン神”になれるかもしれない」という期待さえ与えてくれるのです。
二次創作で、思うように原稿が進まない方、これからチャレンジしてみたい方、はたまた「“ジャン神”って何語?」と思った方は、ぜひオタクたちの熱い二次創作の世界を垣間見てはいかがでしょうか。