まさに「わたしの」ための若草物語だった
この映画は、サブタイトルに「わたしの若草物語」と書いてある通り、作中で若草物語を書いたとされる主人公「ジョー」の視点から見た若草物語であり、この映画の視聴者であり、この「わたし」のための映画だった。
原作小説4冊分をぎゅっと1本の映画としてまとめてあるのと、時間軸が過去と現在の間でいったりきたりするので、最初はストーリーがどう進んでいるのかが分かりにくいかもしれない。それを読み解くヒントとなるのは画面の色合いだ。暖色系の映像で描かれているパートは幸福だった過去を、寒色系の映像で描かれているパートはつらい気持ちで過ごしている現在を描いているという点を意識して見ると、作中の時系列が分かりやすくなると思う。
映画の舞台となっているのは19世紀のアメリカである。しかし、登場する4人の女性が抱えている問題は、現在を生きるわたしと重なる部分が多くあった。
私が最も共感したのは主人公であるジョーだった。将来について尋ねられたジョーが答えた「私は自由な中年女になる。本気よ」という言葉がとても印象に残っている。これを聞いた時、私がなりたかったものをジョーが代わりに言葉にしてくれたように思った。
私の場合はジョーだったが、どの登場人物も魅力的なので、映画を見ればジョー・メグ・ベス・エミリーのうち誰かには必ず共感することができると思う。