本屋大賞を受賞した作品の映画化
もともと三浦しをんさんのファンで、この映画の原作を知りました。
小説では、主人公の馬締光也(まじめみつや)を始めとする登場人物たちの語りで物語が編まれていきます。この作風をどのように映画化するんだろうと期待していました。
辞書編集部に配属となった変人(?)な馬締は、編集部にとって大作である『大渡海』の辞書作りを任されます。彼を演じたのは松田龍平さん。馬締は、言葉作りには熱量が高いのですが、コミュニケーション能力がないのです。自分の世界を持ちつつ一生懸命言葉と向き合う馬締を、松田龍平さんはうまく演じていました。
同僚の西岡さんはチャラチャラした役で、馬締とは正反対。オダギリジョーさんが演じていました。オダギリさんと松田さんのぎこちないやり取りもリアルで、最終的には同志として絆が深まっていくのですが、そこまでの過程が面白い。
そして馬締が恋をする香具矢さんを、宮崎あおいさんが演じていました。彼女は小説の中のイメージとぴったりでした。純粋で、美しくて、2人の不器用な恋も見ていて面白かったです。
馬締と香具矢さんが観覧車に乗って話をする場面があるのですが、お互いに自分の仕事について語るシーンでした。香具矢さんも料理人として悩んでいて、そこを拙い言葉で励ます馬締が愛おしかったです。
我々は辞書作りとあまり縁がないですが、この映画を見ると、その仕事ぶりとそれに携わる人々の人生も垣間見ることができて、興味深い映画です。