最新のジャンプマンガ
2013年から週刊少年ジャンプで連載を開始した葦原大介による漫画「ワールドトリガー」は、異世界からの侵略者である「ネイバー」と、ネイバーの攻撃から人類を守ろうとする防衛組織「ボーダー」の戦いを描くSFアクションだ。主人公である三雲修の通う学校に、外国人のような謎の少年・空閑遊真が転校してくることから物語は始まる。2019年からは月刊誌であるジャンプスクエアに移籍し、一話ごとの完成度がより高くなっている。
作品設定だけを見ると、今までの少年漫画で数多く焼き直されてきた、ありがちで平凡なストーリーに思えるが、2人の少年を中心人物に据えて、その異なる世界から戦争を見つめていき、互いが協力しあいながらも、その出生や産まれた世界で悩んでいくという、繊細なストーリー構造を持った作品だ。また画風も今までのジャンプにはない、スッキリとした描線やアクション描写を特徴としていて、ジャンプの物語構造を踏襲しながらも、少年マンガ界全体の流行をうまく取り入れた完成度の高い連載作品となっている。
また展開される物語の世界観がしっかりしていて、淡白な絵柄ながらもその裏にある世界をはっきりとイメージしながら読み進められるのも大きな魅力の一つだ。
大掛かりな謎解きや伏線の回収などダイナミックな動きこそ無いが、毎話ごとの完成度や、応援したくなる丁寧な人物描写が魅力の作品。構成力にも優れ、飽きることなく読み進められる。これからの展開が楽しみである。