風立ちぬ / The Wind Rises

風立ちぬ / The Wind Rises

『風立ちぬ』とは、2013年にスタジオジブリが公開したアニメーション映画で、監督は宮崎駿。キャッチコピーは「生きねば。」。主人公の堀越二郎は、幼い頃から飛行機が大好きで飛行機乗りになりたかった。しかし近眼という決定的な欠陥から飛行機乗りの道を諦め、設計者を志すこととなる。そして大学生のころ関東大震災にあい、その時に出会った結核の少女、里見菜穂子と恋に落ちる。大正から昭和へと流れゆく時代に、生と死の間で苦悩する青年を描いた感動作となっている。

milktea_victorのレビュー・評価・感想

風立ちぬ / The Wind Rises
10

風立ちぬ~宮崎駿渾身の長編最後の作品~

「風立ちぬ」というアニメーション映画をご存知でしょうか?
宮崎駿の長編アニメーション最後の作品として、2013年に公開された映画です。
最初にこれだけ言わせてください。もう、最高すぎる作品です。ご覧になられていない人は是非とも見てほしいです。
普通のアニメであれば背景が綺麗だったり、神作画だったりすれば、それは神アニメとみなされます。
しかし、この「風立ちぬ」という作品は、上記のことは当たり前としてさらにその先の表現をしています。
それはどんなことか、あるシーンの作画を例に紹介しましょう。
物語の冒頭で、主人公、二郎が家の屋根の上を歩くシーンがあります。普通のアニメであれば、ただ屋根の上を歩かせるだけでしょう。風立ちぬはというと、瓦屋根の凹凸に合わせて二郎の足の作画を変化させています。しっかりと足の裏が瓦を掴み歩いているのです。現代のアニメにおいてここまでやっている作画はないと言っても過言ではありません。宮崎駿のこだわりが詰まったフルアニメーションなのです。
この物語は実存した飛行機技術者、堀越二郎さんを堀辰雄さんの「風立ちぬ」の世界に落とし込んだ作品です。
登場飛行機を作るということは人を殺す道具を作るということ。
この呪われた夢を、宮崎駿としては初めての濃密なラブストーリーに仕立てています。圧倒的な画面設計力、演出をもって、私たちに素晴らしい映画体験を与えてくれます。本当にいい作品なので、是非ご覧ください。