登場人物が皆魅力的
この作品はストーリー展開もとても面白いのですが、個性豊かな登場人物も非常に魅力的であると思っています。
この作品に登場する人物たちは、皆それぞれの生まれ育った環境に基づいて構築された、それぞれの信念、価値観を持っています。そのため、敵味方関係なく、どの人物にも感情移入してしまいます。時には主人公側の人間が冷徹な悪役のように感じられることもあります。
呪術廻戦のメインの登場人物は東京都立呪術高等専門学校という学校に通う高専生たちなのですが、彼らの心理描写は非常にリアルであり、共感しやすいと思います。若いが故の無知、傲慢、焦りなど、誰もが経験したことのある感情が、とてもリアルに、繊細に表現されています。人物の描写に関しては、少年漫画というよりも小説を読んでいるかのような感覚に陥ります。
特に五条過去編は必見です。かつて高専生であった五条悟と夏油傑の若さゆえの驕り、苦悩、そして夏油傑がなぜ、どのようにして悪の道を辿ることとなったのか、ぜひ単行本を手に取って、若かりし頃の彼らの関係性、心情の変化を楽しんでいただきたいと思います。
一度だけでなく、何度も読み込んで、登場人物たちの心情について深く考察してみると、よりこの作品を楽しめるのではないでしょうか。