四月は君の嘘 / 君嘘 / Your Lie in April

『四月は君の嘘』とは、2011年5月号から2015年3月号まで『月刊少年マガジン』(講談社)に連載された、新川直司による少年マンガである。コミックスは全11巻が刊行され、2017年時点で累計発行部数は500万部を超えた。
物語は神童と呼ばれていたが母の死をきっかけにピアノの音が聞こえなくなった主人公有馬公生(ありまこうせい)が、ヴァイオリンを弾く宮園かをり(みやぞのかおり)と出会い、ピアノに向き合うようになるまでの姿が描かれる。
舞台は東京都練馬区で、西武鉄道の西武新宿線や西武池袋線沿線の施設が登場する。
2012年度「マンガ大賞」にノミネートされ、2013年に「講談社漫画賞」で少年部門を受賞した。本作品は2014年10月9日から2015年3月までテレビアニメが放送され、2016年9月10日には実写映画が公開された。宮園かをりを広瀬すず、有馬公生を山﨑賢人が演じた。また舞台が2017年8月24日から9月3日まで東京で、2017年9月7日から9月10日まで大阪で公演された。有馬公生を安西慎太郎、宮園かをりを松永有紗が演じた。他にミュージカルも公演された。

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四月は君の嘘 / 君嘘 / Your Lie in April
10

クラシックと映像美で魅せる複雑な人間模様

中学三年生のピアニスト有馬公生と、同級生のヴァイオリニスト宮園かをりが、音楽や周りの人間と関わる中で自分自身が抱える問題と向き合い、高め合い、惹かれ合っていくお話です。
主人公である公生がとても気の毒に思えました。母親なりに自身の命が長くないことを悟っての厳しい指導だったのでしょうが、母親に対して抱いていた複雑な愛憎と向き合う前に死別してしまい、苦しんでいる様子は胸が締め付けられました。
すでに病に伏せていた母親に対して、「お前なんか死んじゃえばいいんだ」と思わず言ってしまったこと。自身の悔恨が母親の記憶をどんどん暗く苦しいものにしてしまい、いつも傍らに母親の暗い影を見ているところは、何らかのトラウマを抱える人は感情移入してしまうのではないでしょうか。
公生は母親の死後、自分が演奏するピアノの音が聞こえなくなり、ピアニストとしての道は途絶えていました。そんな中、ある日突然現れた無名のヴァイオリニストかをりと出会い、明るく強引な彼女に振り回されながら、再び演奏の舞台に引き上げられます。かをり自身もまた、胸に秘めた想いを抱えてヴァイオリンを奏でていました。
初めはかをりに引っ張られるだけだった公生ですが、ピアニストとしても男としても、どんどん強く逞しくなっていきます。
互いに影響し合い、支え合い、作中何度も出てくる舞台上での演奏シーンは、どれも見ていて胸が熱くなります。
音楽と映像がとても美しい、切ない、素晴らしい作品です。