時代を越える、壮大な「鬼退治」の物語。
時は大正時代。主人公の竈門炭治郎は父を亡くし、母と妹の禰󠄀豆子、その下のたくさんの弟と妹たちと慎ましくも穏やかに暮らしていた。しかしある日、母と弟妹たちは惨殺され、禰󠄀豆子は「鬼」にされてしまう。
鬼にされると日光に当たる以外では不死身になり、しかも人間を食べないといられない身となってしまう。炭治郎も最初は禰󠄀豆子に襲われかけ、食べられそうになるも、「鬼狩り」…鬼殺隊の一人、冨岡義勇がやってきて、鬼となった禰󠄀豆子を退治しようとする。しかし炭治郎が命乞いをし、その上禰󠄀豆子は鬼になったのに関わらず涙を流し、炭治郎を襲うのをためらったので、義勇に見逃されることになった。
禰󠄀豆子を人間に戻し、家族の仇を討つために、炭治郎は鬼殺隊に入隊することになった。鬼殺隊への道はとても険しいものだったが、炭次郎は苦労の末に鬼殺隊に入隊することができた。その間、多くの仲間とも知り合いになった。
しかし、敵の鬼たちは強すぎる。鬼たちは「十二鬼月」と呼ばれるトップの下の方の鬼「下弦」でも極めて強く、鬼殺隊のトップ「柱」9人が相手であっても、彼らまで次々と犠牲になっていった。そんな尊い犠牲があっても、なんとか十二鬼月たちを倒していって、とうとう、鬼の始祖で炭治郎たちの家族を殺した張本人・鬼舞辻無惨と対峙していくのであった…。
「人間=善、鬼=悪」という単純な話ではなく、平安時代から始まっているスケールの大変大きな話で、敵の鬼たちもどうしようもない理由で鬼にならざるを得なかった鬼たちが多く、鬼の気持ちにも共感できるのが、この話のすごいところです。特に猗窩座と妓夫太郎・堕姫、累は鬼ながら見ていても哀れで「鬼たちもなんとか赦され、救われないだろうか?」と思ったものです。
最後は現代につながっていくのですが、本当の大正時代も「鬼」がいたのではないか? と思えるほどリアルな話で、ご先祖様は大変な思いをなさったんだなと、感謝したくなるような話です。
最高の評価ではないのは、胴体がバラバラになったりするような残酷なシーンもあるので、それが苦手な人にはオススメできないためです。決してキャラクターに甘くはない内容で、残酷ではありますが深く考えさせられる話で、壮大なストーリーとなっています。