自分の中の悲しい気持ちを肯定したいときに見る映画
ヒュー・ジャックマン主演のミュージカル映画です。9割以上が音楽にのせてのセリフなので、2時間みっちり音楽に接していることになります。
歌声を聞くことが耳に心地良いです。少年少女から、10代のティーン、青年期、壮年期、晩年とさまざまな世代の心情を歌に乗せて聞くことができます。
舞台はフランス革命後のパリなので、世相に人生を翻弄されます。その中でも愛する人のために自ら動く様子に心打たれます。いちばんスケールの大きさを実感するシーンは、『STARS』から『囚人の歌』への流れです。主人公ジャンバルジャンを捕らえることを決意するジャベール刑事の歌で黒黒とした夜空から、困窮したパリの民衆のシーンへと変わっていく様子は、この映画ならではだと思っています。
貴族たちは貧困に苦しむ民衆を馬車から見ながらも、手を差し伸べることはありません。日本に暮らしている以上、自分は民主側の人間です。毎日仕事をしながら、少しでも良い暮らしができればと思っています。でも、世界に目を向けるとどうでしょう。その日暮らしをしている人たちに囲まれたとき、自分はあの貴族のような態度を取ってしまうのではないだろうかと怖くなります。
愛する人のためにどれだけのことが出来るのか、を問いかける映画です。何度も見返しますが、その様子に毎回泣いてしまいます。