人間失格 太宰治と3人の女たち

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人間失格 太宰治と3人の女たち
7

太宰治像を新たな切り口で描いた映画

「人間失格」を読んだことがない人、太宰治をよく知らない人にも観てほしい映画です。私にとって太宰治は、「自殺未遂ばっかり起こして精神的にも病んだ暗い人」のイメージでした。ただこの映画では、太宰治が作家として成功する中で、妻子がいるにも関わらず浮気を繰り返すし、その場しのぎで女性が言って欲しい言葉を言ってしまうという、ダメ男ぶりがコミカル要素もありながら描かれており、「あ~こういう男いるよな」と太宰治を身近に感じることができるのではないかと思います。
周りを固める女優陣は宮沢りえ、沢尻エリカ、二階堂ふみ、と3人ともハイレベルで、それぞれの女性が抱える苦悩や太宰への愛情が、観ている方が苦しくなるような圧巻の演技です。特に、二階堂ふみは体を張っています。ラブシーンも濃厚、太宰に執着していく女の狂気じみたメンヘラ化がすさまじいです。ドラマ・漫画で話題になった「凪のお暇」のゴンさんが「メンヘラ製造機」と表現されていますが、まさに太宰治もこの種の男性なのではないかと。
蜷川実花監督作品らしく、花が舞ったりカラフルな演出はありますが、派手すぎる印象はなく、作品の「陰と陽」をうまく表現されているなと感じました。