見っけ
通算16作目となるオリジナルアルバムで、前作から3年ぶりとなる。NHK朝ドラの主題歌で2019年のロッキンジャパンフェスでのライブ披露も記憶に新しい「優しいあの子」(42ndシングル)を収録。3曲目の「ありがとさん」など、死生観を描いた草野マサムネの詩の世界は健在。草野のボーカルとそれを包む力強いバンドサウンドが心地よい。スピッツの魅力のひとつは、ベースの田村明浩とドラムの崎山龍男の強力なリズムセクションと筆者は考えているが、特に崎山のアフタービートなノリがスピッツサウンドに独特なグルーヴ感を与えている。「優しいあの子」にもそれがうかがえる。そして、今や5人目のスピッツとも称されるサポートキーボードの「クージー」ことクジヒロコのサウンド面の貢献も計り知れない。筆者は恥ずかしながら昨年のロッキンジャパンフェスで初めてスピッツの生演奏を聴いたが、特にライブにおいてスピッツサウンドを再現するために彼女の存在がいかに大きいかを思い知った。結成30周年を経て、ますます円熟味を増した彼らの変わらない部分、そして進化をこの先どのように我々に示してくれるのか、今後のスピッツがますます楽しみでならない。