ローマの休日 / Roman Holiday

ローマの休日 / Roman Holiday

『ローマの休日』とは、1953年に公開されたアメリカ合衆国の恋愛映画である。日本初公開は1954年。以後、世界中で舞台化・ミュージカル化されている。
主人公の某小国の王女アンは、ヨーロッパを周遊中の旅の最中、常に侍従がつきまとう生活に嫌気が差して、滞在中のローマで大使館を脱出してしまう。そしてアメリカ人新聞記者ジョーと偶然出会い、たった1日のラブストーリーを繰り広げることになるロマンティック・コメディ。
主演はグレゴリー・ペックとオードリー・ヘプバーン。監督はウィリアム・ワイラー。オードリーの初主演作にしてアカデミー主演女優賞受賞作。その他ダルトン・トランボが原案賞、イーディス・ヘッドが衣装デザイン賞を受賞した。オードリーはゴールデングローブ賞でも主演女優賞を受賞している。
オードリーのこの映画でのヘアスタイルは世界中の女性達の間で流行した。また、ローマの名だたる観光スポットが舞台になったこの映画は、ヨーロッパへの観光旅行ブームにも火をつけた。

いちごちゃん(・∞・)のレビュー・評価・感想

ローマの休日 / Roman Holiday
10

「ローマの休日」ブーたれ王女と不良社員の一瞬だが永遠の恋

とにかくオードリー・ヘップバーンの魅力がすごい映画。そしてとにかくローマでのデートがものすごく楽しそう。ストーリーはとてもシンプル。オードリー演じるやる気のないアン王女と、グレゴリー・ペック演じるろくでなし新聞記者のジョーが、一日ローマで遊んで、別れるだけの話。だが、そのデートシーンがものすごく魅力的で本当に楽しそう。それは、終わりが見えているから、この二人が永遠に一緒に居られることはないから、逆に光り輝く永遠の一日となっているように見える。
新聞記者のジョーは、グレゴリー・ペックが演じているから男前だが、ギャンブルはするわ、遅刻はするわ、適当な嘘でごまかすわでかなりのダメ社員。一方、オードリー演じるアン王女も、可愛げはあるものの、まだいまいち自分の仕事に身が入らないブーたれた王女様。そしてアン王女はこっそりと館を抜け出し、ローマの街へ冒険の旅に出て、二人は出会う。
この二人、最初から最後まで、本当の事は口に出しては言わない。ジョーはアン王女のスクープ記事を書く事が目的だが、適当な嘘で正体をごまかす。一方アン王女も、自分が王女だとは言わない。二人とも、最初は一日遊んで別れるだけと思っていたが、一緒にいる内に、互いに惹かれ合い、別れがたくなってしまう。
しかし二人は最後、別れてまた別々の日常に戻っていく。最後の王女の会見の場面は、映画史上に残る屈指の名場面だと思う。この場面、二人の口から出る言葉は、二人の社会的立場から出ている建前上のものに見える。だが、その内面、心の中で思っている事が、言葉で言えないからこそ、ビシビシと観客に伝わってくる。
ローマの休日は、二人だけの大切な思い出として、永遠に心の中で輝き続けるのだ。