ラ・ラ・ランド / La La Land

『ラ・ラ・ランド』とは2016年のミュージカル映画である。脚本、監督はデイミアン・チャゼル。女性俳優志望とピアニストの恋愛を描き、主演はエマ・ストーンとライアン・ゴズリング。
本作は2016年のベネチア映画祭で上映され、第74回ゴールデングローブ賞では映画作品賞を含む7部門を受賞し、第89回アカデミー賞では作品賞こそ逃したものの、エマ・ストーンの主演女優賞を含む6部門を受賞した。全世界で約4億5000万ドルの興行収入を獲得し、演技やミュージカルなどが批評家から絶賛を受けている。本作は近年のミュージカル映画では珍しくすべての楽曲が書き下ろしされており、大作ミュージカルとしても注目を集めた。
映画冒頭の印象的なワンカットのシーンである、高速道路上で「Another Day of Sun」を歌い踊るシーンでは、実際にロサンゼルスの高速道路を貸し切って撮影されている。
劇中で駆け出しのピアニスト役を演じたライアン・ゴズリングは、何度もあるピアノの演奏シーンをスタントなしで演奏している。
タイトルの「LALA LAND」とは、陶酔して現実離れしている状態という意味もある。これを踏まえて最後のシーンを鑑賞すると味わい深い。

Fukuyamaのレビュー・評価・感想

ラ・ラ・ランド / La La Land
8

この作品の魅力は”意外な結末”

オープニングのインパクトがすごい。高速道路で大勢のダンサーたちが楽しそうに踊るシーンは、見ているだけでテンションが上がる。ストーリー自体は、自分のジャズバーを開くことを夢見るセブと大女優を夢見るミアとのラブストーリーで、二人の関係性が「春・夏・秋・冬」のシーンとともに移り変わっていく様子が描かれている。前半の「春・夏」のシーンでは、ダンスシーンが多めで、テンポよくストーリーが進んでいく。話の展開が早い気もするが、私自身、踊ることが好きなので、ダンスシーンの多い前半部分は気に入っている。見ていると、自分も一緒に踊っている気分になって気持ちがいい。じっくりストーリーを見るというよりは、ダンスや歌のシーンを楽しみながら見るのがおすすめ。後半の「秋・冬」のストーリーは、前半とはガラッと変わり、ダンスや歌は少なめで、セブとミアの関係性の変化が重点的に描かれている。成し遂げたい夢をなかなか思うように実現できず葛藤するセブとミアの姿は、今までに一度でも何か夢を追いかけた経験がある人ならば、きっと強く共感できるだろう。また、二人がそれぞれの夢を叶えるために別れの道を選び、数年後、二人が再開するシーンは、夢を優先させることで結ばれなかった二人の愛が切なく描かれている。意外にもハッピーエンドではないこのシーンは、夢を追いかける人に向けて、本当に大切なものは何かを訴えかけているように感じた。