ジュラシック・ワールド/炎の王国 / Jurassic World: Fallen Kingdom

ジュラシック・ワールド/炎の王国 / Jurassic World: Fallen Kingdom

『ジュラシック・ワールド/炎の王国』(じゅらしっく・わーるど/ほのおのおうこく)とは、『ジュラシック・ワールド』シリーズ1作目から三年後の現代を舞台にした映画。2018年に公開され、『ジュラシック・パークシリーズ』としては5作目になる。
ジュラシック・ワールドのパークで発生した事件から三年が経過し、パークのあった島で火山が噴火し、恐竜たちは絶滅の危機に陥っていた。恐竜と人間の共存を願うクレアは保護団体を運営して、恐竜の保護に力を入れいていた時にロッグウッド邸のミルズから支援を受けて恐竜を救いに島へと向かった。島へはオーウェンとミルズの呼んだ部隊も同行していたが、部隊の人たちに裏切られて命からがら逃げ出す。島から逃げたクレア達は、ミルズが恐竜達を金儲けの材料としてしか考えておらず闇オークションを開催する計画を耳にし、オークションを壊した。ロッグウッド邸で出会ったクローン人間のメイジーと出会い、恐竜を保護することは人間のエゴなのか考えさせられるが、メイジーが自分と同じで生きていると考えて恐竜を救い、人間との共存生活が始まっていくラストで幕を閉じる物語になっている。
映画の舞台が島からロックウッド邸に変わっていく飽きさせない物語で、メイジーの登場によりさらに複雑になっていく。

rey0624のレビュー・評価・感想

ジュラシック・ワールド/炎の王国 / Jurassic World: Fallen Kingdom
3

生まれてこない方がよかった命もある

頭をからっぽにして約2時間の暇つぶしをしたい、という人には最適な映画だろう。次々にスリルと迫力のある一級品の映像と音楽が絶え間なく現れて楽しませてくれる。そういう意味のクオリティには疑いがないし、ラストに至るまで興奮しっぱなしの映画体験が味わえるだろう。
しかし、シリーズを通してのファンにはいささか不満の残る出来だろう。登場人物の行動には一貫性がないし、旧シリーズのロストワールドの焼き直しのように思えるメインプロットには、今更感がつきまとう。島から恐竜たちを救い出すというストーリーの時点で観客にはどうせ無理だろう、失敗するだろうという未来しか見えない。物語の性質上、そういう冷めた視点からは逃れられないのがこのシリーズの運命ではあるのだが、それにしても5作目である。さすがに今回は大丈夫なんじゃないだろうか、そう観客に思わせられるシークエンスは絶対に必要だったし、そのフォローが一切ないままに進行する今作は、恐竜以下の頭脳しか持たない人間しか登場しない、薄っぺらい作品になってしまった。
こんな風に前作で登場した魅力的なキャラクターたちが消費されていくのであれば、この作品は作られない方がよかった。島から恐竜を連れ出すという目的自体にあまりにも無理がありすぎた。すばらしい映像体験の中で頭の半分ぐらいにはそういった思いが付きまとう。
敵となる恐竜にしても、前作のインドミナスレックスが独特の存在感を発揮していたのに対して今回のインドラプトル(インドミナスラプトルだと思われるのだが)はエイリアンの皮を被ったよく訓練された警察犬というぐらいでしかなく、生物としての魅力に欠けていた。造形やディティールへのこだわりは感じるものの、中途半端に兵器化されているせいで、旧作におけるラプトルほどにも恐ろしさがない。性懲りもなく改造恐竜を生み出しては殺してしまうジュラシック・ワールド。こんな風に作中で作られた命をもてあそぶぐらいならそもそもこの作品自体を生み出さない方がよかったのではないだろうか。