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人を選ぶ作品であることは確か
言わずと知れた新海誠作品の代表作である今作。
新海誠作品に共通する超美麗な作画に酔い痴れながら楽しむことが出来ます。
今作は彼の三作目の作品であり、いわゆる恋愛モノなわけですが、その特徴は「盛り上がりがない」ことです。
一見すると悪い点に感じるかもしれませんが実際は違います。
この作品の軸にあるのは「主人公の感情の動き」であり、流れていく時間の中で”変化しない心”が魅力になっているのです。
人は子供から大人になるまでの過程で様々な感情が変化していきます。
その過程で誰かを好きになったり、嫌いになったりと人間関係も変化していくことでしょう。
しかし今作の主人公は、言ってしまうと「昔の彼女への想いをずっと持ち続けて生きている」わけです。
悪く言えば未練がましいと言ったところでしょうか…。
ここを「人間臭い」と捉えるか「気持ち悪い」と捉えるかがこの作品の評価を決めるポイントになると思います。
この作品を高く評価している方は、主人公の感情を、この作品の盛り上がりの無さを「リアル」と捉えるのです。
恋愛モノではなく叙情小説と言ったほうがイメージがつきやすいと思います。
ほろ苦い恋愛を経験したことのある方、甘い恋愛だけが恋愛ではないと考えている方にとってはこの作品は他の追従を許さないほどの名作になることでしょう。