スピッツ / Spitz

スピッツ / Spitz

スピッツとは、日本のロックバンドである。メンバーは、ボーカル・ギターの草野マサムネ、ギターの三輪テツヤ、ベースの田村明浩、ドラムの﨑山龍男である。
バンド名の由来は、「短くてかわいいのに、パンクっぽい」から。特徴は、ボーカル草野の透明感のある歌声である。
1987年に結成し、シングル『ヒバリのこころ』と、アルバム『スピッツ』を同時に発売してメジャーデビュー。1994年に『空も飛べるはず』を発売し、バンドを代表する名曲になった。
1995年にリリースした11枚目のシングル『ロビンソン』は、スピッツとして初のオリコンチャートトップ10入り。この曲で大ブレイクし、多くのファンを獲得した。また、同楽曲はオリコンチャートで30週以上もランクインするロングセラーとなり、売上は100万枚を突破した。
1996年には、「空も飛べるはず」がドラマ『白線流し』の主題歌に起用され、大ヒット。ミリオンセラーを記録した。同年に発売した『チェリー』もミリオンセラーとなり、カラオケでも多く歌われるほどの名曲になっている。
2019年、YouTubeの公式チャンネルで公開した「ロビンソン」のミュージックビデオが、再生回数1億回を突破。2021年にはデビュー30周年を迎え、精力的に活動を継続している。

konkotsu02のレビュー・評価・感想

スピッツ / Spitz
9

想像力を掻き立てる歌詞と癖になるメロディーの見事な融合

1990年代に「ロビンソン」「空も飛べるはず」「チェリー」等のシングルが大ヒットし有名になった4人組バンド。ボーカル草野マサムネの歌声は優しさと切なさに溢れており、癖になるメロディーも相まって非常に聞き心地が良い。しかしこのバンドの曲の真骨頂は歌詞にあり、名曲「ロビンソン」のように聞き手の想像力次第でどんな解釈もできてしまうような幅広い世界観や絶妙な抽象性に富んでいる。特にオススメしたい曲を2曲紹介する。「田舎の生活」(アルバム「オーロラになれなかった人のために」収録)は一聴、タイトル通りに田舎の風景や生活様式が具体的な単語で羅列されており、穏やかな田舎の生活を表現しているようにも思えるが、「必ず届くと信じていた幻」「終わることのない輪廻の上」「ネガの街」「あの日のたわごと銀の箱につめて」等、随所に不穏で意味深な表現が登場し、「君にさよなら言わなきゃ」という表現が、単なるその場の別れではなくもっと深刻なもの(死別?)を連想させ、奥深さを感じさせる。「恋は夕暮れ」(アルバム「空の飛び方」収録)は、恋を様々なものに例えた歌詞が印象的。「恋は届かない悲しきテレパシー」「恋は待ちきれず咲き急ぐ桜」「恋は迷わずに飲む不幸の薬」「恋はささやかな悪魔への祈り」等、秀逸で共感できる表現を聴くうちに自身の初恋を思い出し、心を一時的に若返らせる素晴らしい一曲。