青春時代が鮮明に蘇る
朝井リョウさんの小説が原作の映画です。
朝井リョウさんの小説は高校生や大学生などの学生時代の青春をテーマにしたものが多く、読んでいてとても懐かしい感情に浸ることができます。
特に第36回日本アカデミー賞の3部門で最優秀賞も取った映画「桐島、部活やめるってよ」は描写や感情表現がリアルに描かれていて自分が高校生だった過去にタイムスリップした気持ちになりました。
この映画は大阪の高校が舞台に作られており、スクールカーストを背景とした高校生たちのリアルな日常が描かれています。主人公はそんなスクールカーストの底辺に属する前田涼也(神木隆之介)。彼は高校の映画部に所属しているいわゆる陰キャの生徒です。彼は毎日スクールカーストの上部が醸し出す雰囲気に怯えながらも自分の大好きな”映画”という希望に喜びを感じながら充実した毎日を送っています。
他にも様々なキャラクター達が登場します。その誰もが、スクールカーストの上位・下位問わず心のうちに不安を抱え、間違った方法でもそれを解決しようともがいているところが感情移入できる点です。私が気に入ったキャラクターは菊池宏樹というもう一人の主人公です。彼はスクールカーストの上位におり、スポーツも勉強もそこそこできるイケメン高校生です。一見充実しているように見える彼もまたなんでもできるが故に情熱を持てるものが何もない空っぽな自分に不安を抱きながら生きています。
”映画”というたったひとつの希望を持つ地味系男子の涼也となんでもできて理想の男子と評される宏樹。二人の出会いからそれまで暗い雰囲気だった物語が明るく彩られていきます。
見終わったあとに「青春だなあ」とつぶやきたくなるような作品です。