キャラクターの内面が魅力的な作品
なかなか無いくらい、キャラクターが魅力的な作品です。
見た目や名前も個性的で目を惹くのですが、特に魅力的なのがキャラクターの精神面です。ほとんどのキャラクターが、精神の根底にあたたかな優しさを秘めています。それは「ただただ優しい」という不自然な優しさではありません。その優しさの理由は何なのか、その優しさを持ったままどのように現在の人格が形成されるに至ったか、といったそれぞれのバックグラウンドまでもが丁寧に描かれており、強く胸を打たれます。
中でも主人公の炭治郎は、優しさと強さが桁違いです。しかしそれにも、優しくしたたかな両親のもとで育ったこと、大家族の長男として早くから大人にならなければいけなかったこと、そして幼少期から家業の炭売りを手伝い多くの人と交流をしてきたこと、といった明確な根拠があるので、底抜けの優しさにもまったく違和感を抱きません。彼の我慢強さや、純真な気持ちに触れるたび、目頭が熱くなり、胸が温かくなります。
少年少女よりもむしろ大人の方が、読んでいて胸に来るものがあるのかもしれません。彼らの強くあろうとする心、そして優しい気持ちに触れるたびに、自分も頑張らなければと思わせられます。