フレディってとても愛されているんだなと実感した愛を込めて作られた映画
もともとクイーンがすごく好きというわけではなく、「いい曲だな」「ボーカルの人はもう亡くなってしまって残念だな」くらいの知識と好意でした。
しかし一度見始めると物語にどんどん引き込まれていきフレディの成功と孤独、自分のセクシャリティへの葛藤、家族との葛藤、メアリーとの結婚と離婚。まるで自分の親友の話を聞いているかのようで他人事とは思えません。登場人物全員が魅力的でいい意味で人間くさくて、衝突していく様も本当にリアルでした。
しかし誰かが悪者になるような描写もなく、過度に英雄的に描くわけでもなく、製作者たちがクイーンというバンド、フレディという身勝手で才能に溢れる男の人を愛しているように感じました。なのでどうしても、最後のライヴエイドの前にメンバーにエイズだと打ち明けるところからエンディングまで、涙なしには見れませんでした。大事な親友が命を落としうる病に罹ってしまったことを想像しとても悲しくなりました。
離婚してもメアリーが結婚指輪を外すことを望まなかったり、彼女に夜中に電話をかけたりとどうしようもなく振り回していますが、メアリーは最後フレディがまっとうに戻るために雨の中苦手なパーティーに乗り込んで説得してくれます。メンバーも最終的には彼を許してくれてフレディは家族のもとに帰れました。
ライヴエイドの場面は圧巻です。本当にフレディが乗り移っているのではないかというほどに魂までフレディでした。実際のライヴエイドと同じようにピアノの上に飲み物が同じように置かれているなど、細部まで忠実に作られていることも感心しました。それがレミがフレディにしか見えない所以なのかもしれません。
ぜひ友人、恋人、家族など自分にとって大事な人たちと見てほしい映画だと思います。