南極料理人

南極料理人

『南極料理人』とは、西村淳の著書『面白南極料理人』『面白南極料理人 笑う食卓』を原作とした、2009年の日本映画である。海上保安庁に勤務する「西村」は、同僚スズキの代理で、南極観測隊として派遣されることになった。そこでは、様々な個性やクセを持った7人の隊員と共同生活を送らなければならない。初めは打ち解けずトラブルもある隊員たちだったが、次第に南極での生活を楽しみ始めることとなる。この映画は人との関わりを考えさせつつも、くすっと笑えるポイントが随所にちりばめられた、ヒューマンコメディ作品である。

tasaking1985のレビュー・評価・感想

南極料理人
8

非日常での日常、ご飯を食べるのが楽しくなる映画

南極調査基地のドームふじ基地で実際に料理担当として過ごした本人の書籍をもとにした映画であり、基地での日常をご飯を中心に描かれた作品です。
この映画見たことが無い人に面白さを伝えるのはすごく難しいんですよね。なにせ南極の調査基地で8人の男たちの日常風景をご飯を中心に描いた作品なんですから。世界の危機を救うわけでもなく、未知の発見を目指す一大プロジェクトでもないんです。起こる事件といえばシャワーの水使いすぎとか、通常のプロジェクトとか、サプライズの誕生日会か、ラーメンを作るぐらいしかありません。それでもその狭い基地で生活している隊員たちにとっては、大事件だし一大プロジェクトなんです。その全力の姿を見ていると大爆笑はしないまでも終始ニヤニヤしてしまいます。
ご飯を食べてるシーンが美味しそうなんですよ。食べている物がおにぎりでも伊勢えびのエビフライでも、なにがどう美味しいなんて解説は一切ありません。只食べているだけなんです。だけど美味しそうに食べるんです。料理のシーンも丁寧に手元を映してくれています。
最後の朝食のシーンでは誰も座っておらず、料理も並んでいません。このテーブルに次々と料理が運ばれていき、最後に全員が席に着き食事がはじまるのですが、このシーンはワンカットの長まわしで映し出されるんです。一番何てことないシーンなんですが、一番この映画らしいシーンでした。