変わらないの中にこそ光るバンド
スピッツというバンドが国民的バンドになってから、もう四半世紀以上も経つなんて誰が思うだろう。それくらいスピッツというバンドの威力は今も衰えてはいない。2021年でデビュー30周年を迎えるこのバンドは、音楽性の違いだとかメンバーのスキャンダルとかで脱退や解散をしていない唯一のバンドではないだろうか。
ボーカルの澄んだ歌声。激しいけれど、繊細なギターサウンド。リズミカルだけど、歪んだ音のベース。まっすぐで心地いいドラム。
スピッツというサウンドはこの4つのピースが合わさってはじめて完成するのだ。
ボーカル・草野マサムネが作る妖しくて繊細な楽曲はデビュー当時から変わらず、聴くものの魂を揺さぶる何かがある。
デビュー当時から変わらない。
そう、スピッツは変わらないバンドなのだ。
変わらないという言葉は悪い意味に聞こえるかもしれないが、この変わらなさがスピッツの一番の魅力だと言える。
今、世界は大きく変わろうとしている。
目まぐるしく変わる世の中についていこうとしている私たちが少し滑稽に見えるくらいにスピッツは「変わらない」を突き通している。変わる事に疲れた。そう思った時はスピッツを聴いてほしい。変わろうとしている者の体と心を、変わらないバンドサウンドがソッと寄り添ってくれるだろう。