風と共に去りぬ / Gone With the Wind

風と共に去りぬ / Gone With the Wind

『風と共に去りぬ』とは、アメリカの女流作家マーガレット・ミッチェルにより1936年に刊行された長編時代小説、およびそれを原作とした映画作品、舞台作品などである。
舞台は奴隷制が残る南北戦争時代のアメリカ南部。気性の激しい主人公の女性スカーレット・オハラの激動の半生と、彼女を取り巻く様々な人間達が南北戦争という変動の激しい時代を背景に生き生きと描かれている。アメリカでは1936年中に100万部を超えるベストセラーとなり、以来世界中で2000万部を超える有名作品になった。
原作小説は1937年にピューリッツァー賞を受賞。ビビアン・リーとクラーク・ゲーブルの共演でD.O.セルズニックにより映画化され、1940年には第12回アカデミー賞で作品賞・監督賞・主演女優賞など10部門を受賞。
日本では太平洋戦争の終わった1952年に公開され、宝塚歌劇団では1977年に初演されて以降、何度も再演されている人気演目の1つである。

isamismのレビュー・評価・感想

風と共に去りぬ / Gone With the Wind
10

タイトルなし

・簡単なあらすじ紹介
時はアメリカの南北戦争時代。
奴隷賛成派の南に住む女「スカーレット」。気性が荒いが持ち前の美貌で近所の男を我が物にするのがお得意。
だがそんな彼女には唯一無二の存在である男がいた。それが「アシュレイ」である。
アシュレイはスカーレットと真反対で物事を冷静にとらえ、戦争には関係のない芸術などの知識が豊富な美少年である。
ある日アシュレイがいとこのメラニーと結婚することを聞いたスカーレットはとあるパーティーでアシュレイに求婚。

結果はさんざんで当てつけでメラニーの兄とスカーレット結婚。
戦争がはじまりすぐに未亡人となったスカーレットの前に現れたのは悪いうわさで有名の「レット・バトラー」。
彼はスカーレットがアシュレイに求婚を断られるのを見ていた人間であり、又、スカーレットに惚れている人物であった。
裕福であったスカーレットの生活は戦争で一変した。
戦争の中で生き延びるたくましいスカーレットとレット・バトラーとのやり取りやアシュレイへの恋心、ひ弱だが心が美しいメラニーの生き様など、どの視点から映画を見ても楽しめる内容となっている。

・こんな人におすすめ
✓ 内容の濃い恋愛映画を見たい方
✓ 展開が読めない映画を見たい人
✓ ラストに納得する映画を見たい人
✓ 豪奢な映像を見たい人

・風と共に去りぬの魅力
何より映像が美しい点が魅力である。
最初の場面では「お屋敷」のポーチで男とお話をする若き日のスカーレットが映し出されている。
白を基調とした美しい建物に白のドレスを着て男とパーティーの話をするスカーレットの姿はまさしく幸福の象徴である。

アメリカの南部が綿花で栄えて裕福な時代であったので映画の初めは豪華な映像が目白押しである。
女性たちの美しい衣装に注目して見るのも楽しいだろう。

戦争時代の話ということもあり、上記の美しい場面とは対照的に、ケガをするが医者が足りずに苦しむ何百人もの兵士や、主人公が通った通路が大爆発したりするなど、迫力的な場面もある。
命の危険を感じたことのない少女がいつしか大人の女性、たくましい女に変化していく様子が丁寧に映し出されている。

映画自体は3時間を超える超大作である。
サクッとみようとする人には不向きの映画である。しかし3時間を費やして見る価値が十分にある映画なのだ。

戦争時代ということもあり、生きるために必死な主人公スカーレットが自分の美貌と頭脳を最大限に活用して自分の生まれ故郷を守り抜く力強さには必ず心打たれるはずだ。
周囲の批判も気にせず妹のフィアンセを自分の夫にしたり、食べ物が無限のようにあった実家は消え、畑に残っていたニンジンを洗わずそのまま口にするスカーレットの姿には何とも言えない感情を抱くはず。

当時の時代背景をそのまま映像にしたような場面が多々あり、黒人奴隷や性産業への対応が今現在問題視されている。
だが、過去の惨事を記録した貴重な証拠でもあるのだ。

南北戦争が終わり全てが変わり果てた社会に生き残ったスカーレット、レット、アシュレイ、メラニー達の関係は勿論穏やかではなく最終的にスカーレットは土地以外の全てを「南北戦争」という風と共に失ってしまうのである。

ラストは決して明るいものではない。
また、ハッピーエンドの物語だけがいい映画というわけではない。
終わった後にはすっきりしない気持ちが残るが主人公の性格や時代背景を考えるとあのラストに納得するはずである。