孤狼の血

mihoko10226のレビュー・評価・感想

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孤狼の血
10

正義、人望とは何か

警察と暴力団、合法と違法、前科者と学士様、色んな対比がこの映画の中ではっきりと浮かび上がってくる。特に、中盤から見ているこちら側を煽るように展開を繰り広げる。そんな輪郭がはっきりした物事の中に、終盤見落としていた何かに気がつく。それは、逮捕の決め手となる証拠でもなければ、暴力団の抗争を終焉させる手立てでもない。自分の中にある昔、誰しもが感じたことのある人付き合いの温もりや、昭和の良き時代の思いやり、愛する者への本物の愛、ただそれだけが胸に押し寄せてきました。肩書きや法などといった盾に隠れて、頼って、何者にでもなったつもりか?と、言われているような気がした。大上は、自らを世間一般から見た警察に染めず、あくまでパーソナリティな自分で、言ってみれば素っ裸な自分だけで、向き合っていた。向かうべきところへは、真っ直ぐに。人の目見て、腹割って話す。上が言った通りに動いてしまう下のもの、それが大上には理解することができなくて、怖い存在だった、そして相手にとって自分も怖い存在であった。個人的には、永川がタバコをこれ以上ないくらい吸って、背後に吸い殻を投げるシーンが好きだ。色っぽいし、気合い入れてる永川が、かっこよくも少し滑稽にもみれる。