ツナグ

ツナグ

『ツナグ』は、辻村深月の連作短編小説であり、それを原作にした映画である。映画は2012年10月6日に公開。主演を務めた松坂桃李は、この作品で、第36回日本アカデミー賞新人俳優賞、第22回日本映画批評家大賞主演男優賞を受賞した。
原作小説は第32回吉川英治文学新人賞受賞。
大切な人を亡くした者と死者を一度だけ再会させる仲介人「ツナグ」の見習いを努める男子高校生・歩美が、さまざまな依頼者の姿を目の当たりにして葛藤し成長する姿を描く。
ガンで逝去した母と会いたいという中年男、けんかをしたまま事故死した親友に尋ねたいことがある女子高生など、様々な依頼人の願いをかなえる歩美。しかし、死者との再会が救いになるのか、人生は変わるのか、それで両者は救われるのだろうかと考え、自身の行為に疑問を抱くようになる。
主人公の歩美を松坂桃李、ツナグの師匠でもある祖母を樹木希林が演じた。人と人とのつながり、家族の絆、生死を深く見つめた物語である。

anna_dollのレビュー・評価・感想

ツナグ
10

お勧めです。

最初に言っておくが、私は邦画をあまり観ない。どうしてかというと、洋画にあるようなスリルやアクションが少ないように思えるから。でもその代わり、ヒューマンドラマというべきか、人の内面や人と人とのつながりを描くのに関しては、邦画がとび抜けていると思う。この映画は、まさにその中の一本。
最初は登場人物が何人か乱立するから意味を掴みかねたが、しばらくすると人物同士が点から線へとつながっていく。主人公が「ツナグ」でつないだ人達のドラマが美しくて泥臭くて、私はすごく好きだ。
終わってみれば、まあキレイゴトなのかもしれない。生きる人間のエゴだと言ってしまえばそうだと思う。生と死の仲介人、そういうフィクションの王道を行った作品で、最後まで裏切らない。
個人的には最後の「ツナグ」で合わせたあのカップルの事後談くらいで終わったほうが、むしろいい余韻だったとは思わないでもないが、それを考えたとしても最高評価で問題ないだろうと思う。
これは完全に余談なんだけど、洋画のサスペンスばっか観てるせいか、死んだ親友がリンゴの皮剥いてた包丁でいつグサッとやるのか、すげえハラハラしてた。
最近流行りの伏線回収という推理モノではなく、いくつかのストーリーを折り重ねることにより深みの出してある作品。
松坂桃李が凄いはまり役で、各ストーリーごとの主役の邪魔をしない。助演になる。
万引き家族の希林さんより、こちらの希林さんの方がいい。あっちはバランスが良すぎる。隣の家を覗きに来たんじゃないから。松坂桃李と希林さんのほうが絵になる。
涙がこぼれたわけではないが、いい映画を観れて大満足です。