お勧めです。
最初に言っておくが、私は邦画をあまり観ない。どうしてかというと、洋画にあるようなスリルやアクションが少ないように思えるから。でもその代わり、ヒューマンドラマというべきか、人の内面や人と人とのつながりを描くのに関しては、邦画がとび抜けていると思う。この映画は、まさにその中の一本。
最初は登場人物が何人か乱立するから意味を掴みかねたが、しばらくすると人物同士が点から線へとつながっていく。主人公が「ツナグ」でつないだ人達のドラマが美しくて泥臭くて、私はすごく好きだ。
終わってみれば、まあキレイゴトなのかもしれない。生きる人間のエゴだと言ってしまえばそうだと思う。生と死の仲介人、そういうフィクションの王道を行った作品で、最後まで裏切らない。
個人的には最後の「ツナグ」で合わせたあのカップルの事後談くらいで終わったほうが、むしろいい余韻だったとは思わないでもないが、それを考えたとしても最高評価で問題ないだろうと思う。
これは完全に余談なんだけど、洋画のサスペンスばっか観てるせいか、死んだ親友がリンゴの皮剥いてた包丁でいつグサッとやるのか、すげえハラハラしてた。
最近流行りの伏線回収という推理モノではなく、いくつかのストーリーを折り重ねることにより深みの出してある作品。
松坂桃李が凄いはまり役で、各ストーリーごとの主役の邪魔をしない。助演になる。
万引き家族の希林さんより、こちらの希林さんの方がいい。あっちはバランスが良すぎる。隣の家を覗きに来たんじゃないから。松坂桃李と希林さんのほうが絵になる。
涙がこぼれたわけではないが、いい映画を観れて大満足です。