樹木希林さんのすべてが輝いてました
毎日ちょっとやる気なくどら焼きを焼いている「どら春」の店主・千太郎と、そこに「バイト募集」の貼り紙を見て声を掛けてきた老女・徳江のお話です。
最初はどう見ても高齢の徳江を断る千太郎なんですが、徳江の作ったあんこの美味しさにびっくりして、
2人は一緒に働くことになるんです。
樹木希林さん演じる徳江はハンセン病患者なんですね、なので手が少し歪な形をしていて不自由なんです。
千太郎はその事に触れず、毎日丁寧にあんこを作る徳江の姿に少しずつ安らぎを感じていきます。
そして徳江のあんこのおかげで店のどら焼きは完売するまでに売れるようになっていくんですが、それと同時に徳江がハンセン病患者である事が噂され始めるんです。
人間ってこういう事には敏感というか、それからどら焼きは売れなくなっていき、徳江は千太郎に気を遣ってかひっそりお店を辞めてしまいます。
ずっとずっと隔離施設で育ってきた徳江にとって、世間とかかわれる事がどんなに楽しかったでしょうか。
季節の移ろいを肌で感じ、すべての存在を愛おしく愛でる姿や語りかける仕草に、徳江が毎日を大切に生きてるのが伝わってきます。
前科のある千太郎にとっても、徳江との出会いは生きるという本当の意味を教えられるものだったと思います。
徳江の死後、千太郎はテープに吹き込まれた徳江の最後の言葉に涙します。
そして今までやる気なく作っていたどら焼きを、最高の笑顔で売る千太郎の姿が凄く良かったです。