原作とは違った視点での人間ドラマ!映画版「スラムダンク」レビュー
宮城リョータに焦点を当てていることにより、物語に新たな視点が生まれています。漫画では天才バスケットボール選手である桜木花道が主役でしたが、今作では宮城リョータの人生や苦悩がしっかりと描かれているのが特徴。兄を失った悲しみを乗り越える過程や、チームメイトとの絆を深める瞬間が、彼の人間味を際立たせ、宮城という人間味が描かれています。
映画の中心となるのは、湘北高校と山王工業のインターハイでの試合です。しかし、その背後には宮城の個人的な物語が強く描かれています。彼は幼い頃に父親を亡くし、その後、頼りにしていた兄も事故で失うという悲劇に見舞われます。このような過酷な状況下でもバスケットボールに情熱を注ぎ続ける宮城は、体格にも恵まれない自分自身と戦いながら、逆境を乗り越えようと努力します。
宮城に焦点を当てたことで、彼の苦しみや成長が丁寧に描かれ、身近に感じることができます。特に、努力や逆境に直面する姿は、自身の経験と重ね合わせやすく、物語に感情移入しやすくなっています。またバスケットボールの試合シーンでは、選手たちの動きが非常にリアルに描かれていて、シュートやドリブル、フェイントなどの細かい動作も実際にバスケットボールをしているかのような臨場感があります。特に、スピード感のあるカットや視点の切り替えが巧みに使われていて、試合に引き込まれるような迫力を感じられます。
原作を知らない方にとっても、ただのスポーツ映画ではなく、心に深く響くドラマとして楽しむことができます。宮城リョータの成長物語と、仲間との絆は、誰もが共感し、胸を熱くさせること間違いなしです。